食後の運動にゴロツキ退治、その裏に存在する者は?
「な、お…おい!?」
「この女、俺らに歯向かう気かよ!だったら多少痛めつけてでも連れてくぞ!」
「おう!此処なら泣き叫んでも誰も来ねぇしな!」
仲間の一人が急に殴り飛ばされ、ゴロツキ達は戸惑いと怒りを見せて剣やナイフを取り出す。
多少強くても多勢に無勢、一斉にかかれば女を大人しくさせる事が出来ると彼らは思っていた。
「へぇ〜、泣き叫んでも…ね?」
その考えが甘過ぎるとゴロツキ達が気付く事は無い。
良い事を聞いたと、アリナはこの時悪い笑みを見せる。
「ごはぁっ!」
「ぐげぇ!」
「がああ!!」
武器を持つゴロツキ達に構わず、アリナはゴロツキ達に突っ込んで腹部に左ボディブロー、首筋に右の回し蹴り、顔面へ左の後ろ回し蹴りとゴロツキ達を沈めていく。
いずれもアリナの重い一撃を受けて、悶絶して地面に倒れ伏していた。
「食後の運動にもならないなぁ〜」
まだまだ本気ではないアリナ、この前のルスティカ村で戦ったオーガと比べれば強さは全然落ちる。
「(この女、化け物か!?こうなりゃガキの方を狙うっきゃねぇ!)」
アリナの異次元な強さを見せつけられて、敵わないと思ったゴロツキの1人はターゲットをアリナから静観するコリンへと変更。
真っ直ぐコリンへ突っ込んで行くが、それは悪手だった。
「来るの?ちょっと痛いよー」
「ぎゃぁぁぁ!!」
コリンの持つ赤い宝玉がはめこまれた杖、その先端から小さな雷の矢が目にも止まらない速さで飛ぶと、襲いかかるゴロツキの体に突き刺さる。
突き刺さった刹那、全身が激しい痺れと痛みが駆け巡り、ゴロツキは悲鳴を上げると、体を雷で焦がしつつ仰向けに倒れていった。
「(嘘…だろ…!?女もガキも…何でこんな強ぇんだ…!)」
次々と倒れていく仲間達、アリナから強烈なボディブローを受けて地面に倒れ、苦しんでいたゴロツキにとって信じられない光景が広がっている。
「こいつでラストっとー!」
「ゲバァ!」
最後の1人となったゴロツキの腹部にアリナの右膝がめり込み、体の内部にまで響く程の一撃を受けてゴロツキは泡を吹きながら倒れていった。
これでコリン達を狙い尾行してきた敵は全滅、焼け焦げたり悶絶していたりと彼らはもう戦闘不能だ。
「おい、話聞けそうな奴とかいねぇのか?こいつらが何で俺らを連れ去ろうとしたのか気になるだろ」
その場で襲ったり金品を要求せず、ただ連れ去ろうとしていたゴロツキ達の行動が気になりマルシャは彼らから話を聞き出そうと、倒れてる者達をコリンの肩から見渡す。
「この辺りかな?おーい起きろ〜」
何となく、こいつが元気そうと思う者をアリナは見つけて引っ張り起こし、ペシペシと軽く往復の平手打ちを気つけにお見舞いしておく。
「うう…」
「お、意識あって話せそう。あんたらさ、あたし達からカツアゲや襲う事もせずに何処連れて行こうとしてた訳?」
「…奴隷、商人の所だ…」
正直に言わないと、またアリナから痛めつけられてしまう。
そんな恐怖を感じてか、ゴロツキの口から理由が語られる。そこから出たのは奴隷商人という言葉だった。
「奴隷って、そういや改心する前だったブレイザの下っ端が言ってたっけ?」
「言ってたね、シャリアを奴隷にして売り飛ばせば高い金が入るみたいな事を」
ブレイザ盗賊団からシャリアを助ける時、下っ端達が酒盛りでシャリアを奴隷にして売り飛ばせば、大金に出来るような会話をコリンもアリナも聞いていた。
つまり連中が子供をさらったりしている大元には奴隷商人が居るという訳だ。
「お、おい…今ブレイザっつったか…?」
そこに別のゴロツキが地面に倒れながらも、アリナの口から出た名前に驚いていた。
「まさか、それ…業火のブレイザとかじゃねぇだろうな…改心ってどういう事だ…!?」
「あれ、あいつそんな有名人だったの?秒で倒しちゃったんだけど」
「分かんないけど、何か名前知られてるっぽいね」
ブレイザが長い口上の時に確かそう言ったっけか、とアリナとコリンは共にうろ覚え。
何しろ自慢の業火を振るう前に、アリナがジャーマンスープレックスでブレイザを沈めてしまい、力を見せる事なく終わったのだから印象に残りようが無い。
「こいつらが…あのブレイザ率いる盗賊団を…!?」
想像以上にブレイザの名は彼らから見て大きかったようで、かなりの衝撃だったらしい。
その彼が改心したというのは信じられないが、自分達を圧倒したコリンとアリナの実力を思えば嘘とも考えづらい。
「というかそれはどうでもいいし!その奴隷商人の居る場所って何処よ?」
「!そいつは…」
アリナから詳しい場所について問い詰められるが、ゴロツキは口を割ろうとしない。
奴隷商人が余程恐ろしいせいなのだろうか。
「連れてってくれない?お望みだったんでしょ、僕達がそこに行く事」
「!?」
そこにコリンは自ら、ゴロツキ達が連れて行こうとしていた場所に行く事を望み、彼らを驚かせる。
「良いのか?エノルム王国目指してる最中に」
「今も奴隷にされて泣いてるのとか居るなら、止めさせなきゃ駄目じゃん」
マルシャの言う事も分かる、エノルム王国がベッラ帝国に侵攻していて戦を止めさせるのも大事だ。
だがコリンとしては、奴隷にされて泣く者が居る事を思えば無視して素通りは考えられなかった。
コリンの目指す皆仲良くのんびり暮らせる世界を作るのなら、これを解決させる必要がある。
「そうだねぇ、んな悪い事そもそも勇者って身分で放ってはおけないだろうし…それにこういうのは可愛い子が捕まってるようなもの、だったら助けた方が良い!という訳で行こうかー?」
同じくアリナも可愛い子が居るかもしれないという欲望の声をこぼしつつも、コリンの考えに乗り、ゴロツキ達にそこまでの道案内を命じる。
それぞれまともに動けなかったのでコリンが魔法で治療を施し、実力差を知った彼らは歯向かわず、知り合いの馬車を借りてコリン達を乗せると目的地へ案内する事となった。
方角は偶然にもエノルム王国の方面であり通り道、途中にあるマルシャンという小さな国が奴隷商人の根城としている場所だ。
奴隷達を救おうと、小国に魔王が迫る事など誰も想像はしていないだろう…。
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アリナ「マルシャン…」
マルシャ「俺関係ねーぞ」
コリン「これでマルシャが思いっきり関係してたらビックリしちゃうよ」
アリナ「とりあえず奴隷商人ぶっ潰しにゴーゴー!」




