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狙われた一行、とりあえず悪い奴は殴っておく

 腹を満たそうと、コリン達は港町ファーレンの酒場へと来ていた。


 成人していてアリナは問題無く酒を飲めるが、アルコールを入れるつもりは無い。



「うーん…美味い!エビのピラフを異世界でも食べられるなんて最高〜♡元の世界のより美味いかも〜」



 エビのピラフを食べるのはこれが初めてではない、元の世界にて冷凍食品のピラフを何度も食べていて、ピラフはアリナにとって馴染みある食べ物だ。



「サックサク〜、美味しい〜♪」



 プリップリのエビフライにかぶりつき、衣のサクサクした食感も合わさり、エビの旨味を存分にコリンは味わう。



 年齢的にコリンも飲める年ではあるが、見た目の問題で酒は貰えるはずもなく、2人揃って飲み物は果実ジュースを頼んでいた。



 マルシャは皿に盛られた魚の切り身を混ぜたライス、それをガツガツと食べている。


 なんだかんだで白猫も空腹だったらしい。



「美味いからもっかい行けるねー、すみませんエビピラフ追加でー」



 あまりに美味しく気に入ったのか、アリナは追加オーダー。



 一皿に結構な量が盛られていたはずだが、もう一杯食べられる食欲があって追加のピラフを美味しく食べ進めていた。




「…おい、お前ら」



「ん、分かってるよー」



「まあバレバレだよねぇ」



 食事を先に終えたマルシャが話しかけると、コリンにアリナの2人は何かに気付いている。


 それは酒場へ入る以前からずっと感じていた事だ。



 やがて2人の食事も終わり、アリナの方から銀貨を出して会計すれば店を出て行く。




 コリン達は酒場を出てから人通りの多い通りから、暗い路地裏の方へ歩を進める。


 先程までの賑やかな場所とは一転、辺りは静寂に包まれている。



「さてと、出て来てくんない?そっちも此処なら色々やりやすいんじゃないの?」



 歩いていた足を止め、隣を歩くコリンも止まればアリナは後ろへと振り向き、言い放っていた。



 言葉を受けてか、数人程の人影が見えれば一行の前に姿を現す。



 いずれも軽装の鎧を纏う男ばかりで、ガラの悪そうな顔がそれぞれ並び、善人とはお世辞にも言えそうに無い。



「こいつは驚いた、俺らの尾行に気付いていたのか?女にしちゃ少しは出来そうじゃねえか」



 ゴロツキの男がアリナに視線を向け、自分達の尾行に気付かれた事に驚きつつもニヤつき、下品そうな笑みを見せている。


 他の男達も同様にニヤニヤと笑っていた。



「なんとなーく、やりそうな事は想像つくけどねぇ…一応社交辞令として聞こうかな。あたしらに何かご用ですかお兄さん方?」



 自身の赤髪を軽く右手で掻きながら、ふぅっとひと息つくとアリナは目の前の男達に用件を尋ねる。



「なに、心配すんな。そんな難しい事を要求するつもりはねぇよ、ちょっと俺らと一緒に来てくれりゃ良いだけだ。大人しく来てくれるなら悪いようにはしねぇぜ?」



 自分達と共に来いと、2人の意思を無視する要求。そして裏を返せば抵抗したら悪いようにする、そう言ってるも同然だった。



 ジリジリと距離を詰めて来る男達、数が上回っている上に自分達は体格が良く、力に自信がある。



 相手は女と猫を連れた子供で自分達が絶対的に優勢、抵抗するなら力づくで分からせるだろう。



「来いって何処に連れてくつもりで?この場でやらしい事しそうな感じだったんだけどねぇ」



「何だ、誘ってんのか?これが仕事じゃなきゃ誘いに乗って、お楽しみにしゃれこんでも良かったんだけどな」



「違いねぇ、女にしちゃデカい方だけど中々可愛くて悪くねぇからよぉ…!」



 アリナから見て、そういう狙いがあるならこの場でゴロツキ達は一斉に襲って楽しむだろうと考えられたが、別の場所に連れて行こうとしている辺り、狙いは違うのかもしれない。



 単に外での趣味が無いだけ、という可能性も否定出来ないが。



「連れて行くのがエノルム王国だったら付き合うよ?僕たちはそこまで行きたいからさ」



「エノルムだぁ?あんなクソみてぇな国に好き好んで行く物好きが居たとはな!」



 そこに黙って見守っていたコリンが口を挟む形で発言、自分達の目的はエノルム王国に行く事と告げれば、ゴロツキ達の中に若干驚く者達が居た。



「ん?どゆこと?東の大陸随一の大国なんじゃないのー?」



「はっ、知らないって事はお前ら西から来た田舎者だろ?あそこは国民から重い税金を搾り取ってんだよ。国に入国する時も通行料を取っちまう。金の亡者が国を統べてるようなもんだ」



「(あ、そこは色々教えてくれるんだ。意外と良いゴロツキ?)」



 頼んでもいないのにベラベラ喋ってくれるゴロツキに、アリナは親切だなぁと思いながら話を聞いていた。



「あれだけの大軍を率いたり、巨大な軍艦を用意出来たりしてたから資金が豊富なんだろうなと思っていたけどな…民から金を搾り取ってたって訳かい」



「…」



 コリンの肩に乗るマルシャが呟く一方、コリンは黙っている。



 戦を仕掛けるなら兵力だけでなく、準備の為の物や金が必要。


 エノルム王国が巨大軍艦を用意出来たのは、民から税金で不当に得た豊富な資金による物だった。



 これに対して思う事はあるが、それを遮るかのようにゴロツキ達が距離を詰めて迫る。



「話はもう良いだろ?善は急げって言うからよ、とっとと行こうぜ」



「うーん、とりあえずこれは言っておこうか」



「あ?」



 アリナに近距離まで迫り、ゴロツキの手が伸びて来た時だった。




「ぶがぁ!?」



 ゴロツキの鼻をへし折る勢いで、アリナは右拳でフック気味に顔面を殴り、大柄な体がふっ飛ばされると頭から壁へと激突、ゴロツキは鼻血を出しながらピクピクと体を痙攣させていた。




「何で行く事が決定してんのかマジで意味分からん、誰が行くかっての」



 男達について行く気は全く無い、とりあえず悪とみなして問題なさそうと、アリナはゴロツキ達を潰しにかかる。

此処まで見ていただきありがとうございます。


この先どうなっていくのか、気になったり応援したいとなったら作品フォロー、♡や☆のマークをポチッと押して応援いただけると凄い嬉しいです。


マルシャ「まあ、あの手の輩相手に話し合いじゃ済まねぇだろうなと思ってた」


コリン「何処に連れて行こうとしているのかは不明なままだけどね」


アリナ「んなもん痛めつけて吐かせればすぐだってー、てな訳でフルボッコタイムと行こうか!」

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