他国の進軍、大きな戦いが間近に迫る!?
「んじゃ、お世話になりました♪」
ルスティカ村で一泊したコリン達、アリナは世話になった村人達へと頭を下げて礼を言う。
「いや、世話になったのはこっちだって。俺達が敵わなかった相手をなんとかしてもらったからな」
「怪我が治ったら前より真剣に訓練してもっと強くなるよ、今度は自分達で守れるように」
自警団のアストン、カゼルの2人は自分達の手で今度はコリン達に頼らず自分達で村を守れるようにするんだ、と張り切っている。
もう一人の寝たきりの人物も回復しており、復帰もそう遠くはないだろう。
「また来てね、コリン君!」
「勿論ー♪」
クレアはコリンへと挨拶し、2人は互いに笑い合っていた。
「本当にこんな貰っていいだか?あげ過ぎで自分達の分無ぐならんが?」
ドンゴの両腕にはジャガイモとミルク、ルスティカ村産の数々の野菜等を抱えている。
「わっはっは!それぐらいどうという事は無い、むしろ村を救ってくれた報酬として足りんぐらいだ!」
問題無いとゴラスは豪快に笑い飛ばす、村を救ってくれたお礼としてコリン達は多くの食材を土産で頂いたのだ。
「おめぇ達、オラがいなぐでもしっかりやるだぞ!」
「ケー!」
「ウォー!」
農作業を指導した仲であるゴブリン達とオーガ、ドンゴの言葉に対してそれぞれが叫ぶ。
任せろと言ってるのだろう。
「しかし、本当に俺が送らなくて大丈夫なのか?帰り道は分かるか?」
「大丈夫だよー、流石に僕達全員が馬に乗るの無理でしょ」
「うん、まあそれはそうだけどな…」
最初はサイラード、ミディサの馬で此処にやってきた。
帰りは自分達で歩いて帰る、そう言い出したのはコリンだ。2人と一匹だけならともかく、途中から大柄なドンゴまで加わっているのだ。
サイラードの馬もそれが加われば移動など不可能だろう。
「それじゃ、またねー!」
大勢の村人に見送られ、コリンは手を振って別れを告げて歩き出した。
歩き続けてルスティカ村が見えなくなった時、コリンは一行を移動魔法で運ぶ。
いきなり目の前で消えるという超常現象が起きて、村がパニックにならないようにと彼らなりに配慮しての事だ。
アリナやドンゴも移動魔法により、コリンと共にその場から姿を消して目的地までの空間移動を開始する。
一度魔王城へと戻れば、ドンゴとは此処で別れて彼は門番のゴーレムと挨拶を交わしつつ城の中へと入って行った。
「ザリーが来る前に早めに行こー」
「またセオンかいねぇとかでガクガク揺らされんの見えてるしな」
流石にそう何度もザリーに揺らされ、目を回されるのは避けたい。
マルシャに言われるまでもなく、コリンは早々に移動を開始。
「(うーん、目を回すコリン君も可愛いから見たかったけどなぁ)」
アリナとしては、そういう姿も良いと思っていて、見られないとなると少し残念そうな表情だった。
魔王城からコリンはアリナ、マルシャと共に再び移動魔法を使用。
目の前の古城から風景は変わり、一瞬でベッラ帝国の巨城が見える城門前へと移動し、現れていた。
一行の前には騎士達が突然現れた者達には目もくれず、各自が忙しく動き回っている姿が見える。
「おい、何か…ただ事じゃねぇ雰囲気だぞ」
騎士達だけでなく城の者達、城全体が緊張感あってピリつく雰囲気をマルシャは感じ取っていた。
「ええ?この前街の放火騒ぎで騒動あったばかりだってのに、もしもーし。何かあったのー?」
「何だ!?今忙しい…あ、勇者殿!?」
一体どうしたのか、アリナが近くに居た騎士へと声を掛けると、その騎士もピリついているのか厳しい態度を見せる。
それがアリナと分かれば態度は軟化していった。
「また放火でもあった…にしてはめちゃめちゃ皆ピリピリしてるよね?」
放火以上の事が起きている、流石に話を聞く前からそれは予測出来ていた。
今ベッラ帝国で何が起きているのか、アリナやコリンにマルシャは騎士の言葉を待つ。
「…まもなく、戦が始まるのです。東の大陸のエノルム王国、東随一の大国が進軍を開始してきました…!」
「!」
ベッラ帝国に対して戦いを仕掛けて来た国、エノルム王国が進軍して来ると聞いて一同は驚く。
「私はそう聞いて戦いの準備を進めなければならないので、失礼!」
話を終えて騎士は急ぎ足で去って行った。
「ちょっとこれは、想定してなかった…セオンの所に急ごう」
「ガチで大事だったし!これダッシュで行くよー!」
こうなる事はコリンも思っていなかったようで、驚いた顔を浮かべている。
詳細についてはセオン、またはロードハルトが知っているだろうとアリナは真っ先に駆け出していき、コリンもそれに続く。
「何ということだ、エノルム王国…あまりに最悪だ!」
玉座に座るロードハルト、右手で頭を抱えながら左手の拳で肘掛けを叩きつけていた。
それが事態の深刻さをよく表している事が、周囲に嫌でも伝わる。
「セオンー」
「!これは魔王様…」
玉座の間にある扉を開き現れたコリン達、セオンは彼の姿を見て真っ先に頭を下げた。
「エノルム王国が戦を仕掛けて来たって聞いたけどさ、どういう事?」
「東の大陸で密偵をしている者からの情報だ…今朝、大軍を率いて進軍を開始したと。エノルム王国とは敵対関係はあれど、大人しくしていたはずなのだが…」
セオンより早く、ロードハルトの方が口を開き事の詳細を伝える。
「でもベッラ帝国は世界一の強国ですよね?だったら返り討ちに出来ちゃうんじゃあ?」
「エノルム王国ではそうは行かんのだ、向こうは多くの同盟国を持っている。王国を統べる女王のアマンダが外交に関して非常に長けていてな…」
帝国の方が力は上だろうと楽観視するアリナに、そんな甘い話ではないとロードハルトは話を続ける。
「一つ一つの力が帝国に劣っても1つとなれば…帝国をも凌駕しかねない強大な軍団となるだろう、しかし嫌なタイミングで仕掛けてくる…!」
「おそらく魔王軍が帝国へ攻め込んでいた事を何処かで知ったのかもしれない、それで帝国だろうが魔王軍だろうがいずれが勝利しようが消耗…弱った所を狙って来た、と言った所だろう」
「うん、まあ兵法の1つだろうねぇ。戦にルールなんか存在しないし、誰もスタートとかそんなもん言わずいきなり始まるもんだと思うし」
あまりに狙ったようなタイミング、頭を抱えるロードハルトをよそに、セオンは冷静にエノルム王国と女王アマンダの狙いを語り、それが戦いってものだろうなぁと、アリナが納得するように頷いていた。
「どっちにしても、それで互いにぶつかり合ったら…何も悪い事してない人達とかすっごい被害出そうだよね?」
「そりゃあな、大国同士のドンパチとなったら大規模だ。巻き添えになっての死人は避けられないだろうよ」
コリンとマルシャの間でも会話は行われていた。
このまま行けば甚大な被害は間違い無い、互いのあらゆる力を振るって来れば規模は大きくなり、民にも被害は出てしまう。
「じゃあ、それは駄目だから止めてもらおう」
そんな戦いは駄目だと、コリンは迷いなくエノルム王国を止める事を決めていた。
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アリナ「宴を楽しんだかと思えば翌日、こんな緊迫したのが待ってるなんてー!」
マルシャ「ゆっくりしてる暇もねぇわなぁ」
アリナ「本当だよ!ラッキースケベ的な展開は何処に待っているのか!?」
セオン「こいつが本当に勇者なのか疑う…」




