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気分はスローライフ!魔王の農業体験

「よっしゃ、もうひと頑張りすんべぇ!」



「ケー!」



 何も知らない者から見れば異常な光景と思うかもしれない、人間と魔物による畑仕事を。



 ついさっきまで剣や棍棒を振り回していた魔物達が、クワ等の畑道具に持ち替え、自分達の荒らした畑を戻そうと働いている。




「無理せず適度に休憩すんのも大事だぁ、腰がキツくなるだよ」



「うむ、あの時の腰の痛みと来たら地獄のようなものでな…しばらく動く事が出来なかったものよ」



 何時の間にか交流を深め、共に茶を啜るまでの仲となっていたゴラスとドンゴ。



 腰の辛さを経験した者同士、種族は違えど強く共感し合ったか意気投合する。




「はぁっ!結構…腰に来るもんだな…」



「ほら、いわんこっちゃねぇ!あんちゃん若さに任せて無理すんな!」



 鎧を脱いで身軽になり、すっかり農作業スタイルとなっていたサイラード、勢いと体力に任せた結果が腰に負担をかけてしまう。




「貴女、筋が良いね」



「畑仕事は初めてじゃありませんからー♪」



 ゴラスの妻から仕事を褒められ、上機嫌でアリナは鼻歌を歌いながら、学生ボランティアの経験を活かし畑を耕していく。




「これが、かの有名なスローライフってヤツかなぁ?」



 額の汗を拭い、アリナは現実の忙しかった頃や勇者としての肩書きも忘れ、器用にクワを操っていた。



 これが漫画で見てきたスローライフかぁ、と頭で考えつつ。




 一方クレアに連れて来られたコリン、目の前には地面から生える草が見えている。



「皆がやる気を取り戻して、作物をまた育てるからね。こっちは雑草を刈ってくよー」



「雑草?」



 外見的にクレアと同じ子供組とされ、子供の方は重いクワを使った仕事ではなく雑草刈りを任されていた。



「雑草ってね、そのままにしちゃうと土の養分や水分を奪っちゃうから刈ってかなきゃ駄目なの。良い作物を育てるには絶対必要!てお父さんから教えられたんだ」



「へえー、草取り結構大事だねー」



 目の前の子供が魔王だとは知らず、クレアはコリンに雑草取りについて教えていく…



「俺ぁ寝てるわ、コリン頑張れや」



 マルシャは手伝う気がないようで、コリンの肩から降りると切り株の上に飛び乗って、その上に体を丸める。



 元から白猫に手伝ってもらおうとはコリンも考えてはおらず、特に問題は無い。




「取るんじゃ駄目なの?」



「駄目ー、根っことか引っこ抜いちゃったら土が固くなって酸素や水分を奪ってそれも作物が育たなくなっちゃうから。これお母さんから教えられた事だよ!」



 ただ雑草を無くせば良いという訳ではない、雑草は雑草で役割がある。


 それをクレアから教えられたコリンは共に鎌を持ち、伸びたり雑草を刈り取る作業を始めた。



 普段から両親の手伝いをしているクレア、流石に慣れておりスムーズに雑草を鎌で刈っていく。


 一方コリンはそのクレアの動きを見て、見様見真似で雑草を刈る。



「それで刈った草は牛のご飯にするから、捨てちゃ駄目だからね?」



「こういうの牛食べちゃうんだー」



 刈った草は集められ、後に運ばれる。単なる草刈りだけでなく、牛の食事確保も兼ねており、非常に効率的だ。



 感心する中でコリンはクレアと共に草刈りを進めていく。




「畑を耕して、作物を育てて、草刈りをしたりと色々やる事が凄く多いね」



「これだけじゃなく大雨とかにも気をつけないといけないから、その対策もしなきゃいけないの」



「雨降ったら作物育つって聞いたけど、大雨は駄目なんだね」



 作物を育てるのに雨は必要、だが雨が降り過ぎては逆効果だ。


 それによるメリットがあればデメリットもある、作物を育てるというのは想像以上に難しい。



「苦労は多いけど、それで実った野菜とか麦とか稲とか出来て収穫出来たら皆すっごい笑顔なの。あたしはそれが好き!」



 重ねた苦労や努力の末に実った作物、収穫する時の笑い合う村人達の姿がクレアは大好きと、その光景を思い浮かべたか自然と彼女は笑顔になっていた。



「きっと凄い豊作になって笑い合ってくれるよ♪」



 太陽に輝く笑顔に釣られて、コリンもまた満面の笑みを浮かべる。




 各自の作業が一段落する頃には日が暮れ、コリン達はルスティカ村で開かれるささやかな宴の場に出席。



「では、我らの村を救ってくれた英雄に乾杯!」



 ゴラスが乾杯の音頭を取り、大人達それぞれのグラスに酒が注がれて一斉に飲んで味わっていた。



 飲めない子供達は果実で作った甘いジュース、コリンやアリナもグラスにはそちらが注がれている。



 ちなみにマルシャには皿に並々と注がれた水が用意された。



「くぅ〜、五臓六腑に染み渡るってのはこういう事かなぁ!?うんまい!」



 ゴブリンやオーガと戦ったり、畑仕事をしたりと今日一番働いていたであろうアリナ、100%果実の甘みがダイレクトに伝わり一気に飲み干しグラスを空にしていく。



 宴の場で用意されたご馳走はトマトやキャベツを使った新鮮サラダ、ジャガイモと米の炊き込みご飯にパン。主菜は野菜をメインによく煮込まれたクリームシチューが用意されていた。



「ゼオンの料理も美味しいけど、こっちも美味しいなぁ〜♡」



 パンとシチューを合わせて食べるのが良いと勧められ、ゼオンの料理とはまた違う美味しさが口の中で広がり、コリンの食が止まらない。



「皆で働いた後に食う飯は格別だぁ、うんめ」



 コリン以上に食の止まらぬドンゴ、既に大人数人程の飯を平らげる。




 気づけばゴブリンやオーガまで一緒になって飯を食い、人も魔物も関係なく宴を楽しむ姿があった。



「ケー♪」



「ウォー」



「おー、流石オーガ!樽酒を一気とは粋だねぇ!」



 3mの巨体にかかれば樽酒を持ち上げる事は容易く、オーガは片手で豪快にコップで飲むように、樽酒の中身を一気に飲み干していた。




 宴が盛り上がり夜は深まる。

此処まで見ていただきありがとうございます。


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コリン「今日はゼオンに外で食べて来るからって伝えてるし、大丈夫だよね♪」


ドンゴ「それを聞いてあいつテンション下がってただ、その分ザリーとかが食う事になるだよ」


アリナ「うーん、それは太りそう…魔族の体重事情は知らんけどー」

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