意外な繋がりで美人騎士から信用される
「魔物?」
どういう事だと、コリンやアリナが揃ってセオンからの話を聞こうと彼の方を向いていた。
「魔物って、魔王軍なら全員コリン君の言う事聞くとか仲間じゃないの?」
「馬鹿か、人間とて頂点に立つ王が全員従う訳ではないだろう?魔物だろうと全員我らが魔王様の下僕という訳ではないのだ」
魔物なら全員コリンに従うものだと思っているアリナに対して、そういう事は無いとやや呆れ気味にセオンは説明する。
「人間に悪いのが居るように魔物にも悪いのが居る、そういうもんだよ」
「はぁ〜、魔族の世界もそういう感じなんだなぁ」
コリンの言葉にアリナが納得した所で、セオンは魔物の問題を改めて説明する。
「我々がベッラ帝国を制圧する以前から、帝国の近辺にある村で畑が荒らされる被害が多発しているのです」
「畑?それが魔物のせいだと?」
「はい、人の手ならば畑で実っている物を丸ごと持っていくはずですが酷く食い荒らされていたので魔物達の手によるもの、それが調査した騎士団からの報告でした」
ただ荒らされただけなら、人にも出来るが畑の作物は食い荒らされて酷い状態となってしまい、魔物のせいだという確率が高い。
報告を聞いたセオンだけでなくコリンも、それは魔物かもしれないと思った。
「おいおい、世界最強である騎士団がさっさと動けば済む話だろ。とっとと魔物倒して作物守りゃ良い話じゃね?」
「俺もそう思ったんだが、近隣の田舎村程度に死人が出た訳でもあるまいしわざわざ騎士団を出撃させるまでもない、とゲータがさせなかったらしい」
「わー、絵に描いたようなドクズっぷりだー」
世界最強と名高い騎士団ならすぐに魔物を倒せるだろうと、マルシャは疑問に感じたが此処も大臣が影響し、騎士を向かわせなかったとセオンが説明。
あの大臣ブレイザ達のように、デーモンイーターでのバリボリタイムやった方が良くね?と内心でアリナは物騒な事を考える。
「じゃ、此処は僕達が出向いてなんとかしようかな」
この問題にコリンが動き、自ら解決しようと決断を迷わず下す。
「魔王自らやるような事じゃねぇけど、しゃーねぇな。お前がそう言うなら行くか」
僕達と言われ、自分も含まれてると察したマルシャ、反対はせずコリンに同行する。
「あたしは引き続き監視役だから、勿論同行させてもらうよー?」
「何時まで監視役を続けるつもりだ勇者」
「さあ?あたしも知りませんー」
自分も同行するというアリナに、セオンから何故お前までという目で見られていた。
どちらにしてもコリンにくっついて行く事に変わりは無い。
「村はこの帝国から南西のルスティカ村、そこの畑が主に被害に遭っています」
「行った事無いから歩きだねー」
セオンから村の位置を教えてもらい、コリンの行った事の無い場所なので移動魔法を使う事は出来ず、歩くしかない。
「いや、此処は騎士団の馬借りて一気に突っ走ろう!善は急げって言うし?」
「え、馬?乗れるの?」
「乗馬体験をした事を何回かあるからねー(北海道で家族旅行の時に)」
歩くよりも馬を使えばすぐだと、アリナは騎士団から馬を借りる事を提案。
乗馬の経験は家族旅行で乗った時ぐらい、それにセオンやマルシャは大丈夫かこいつ、という疑わしい目を向けている。
だがコリンは違う。
「僕馬に乗った事無いんだよねー、楽しみー♪」
馬に乗った経験が無く、初めて乗る事になると思えば自然と楽しくなる。
どんな魔物が居るか分からない、未知の場所に行くのにピクニック気分だ。
はしゃぐ姿は人間の男の子のようであり、魔王というのを周囲の城の者から見れば、忘れそうになってしまう。
国の経費が馬車代で負担が大きくなっていると言った手前、おいそれと馬車を使う訳にもいかず、一行は馬を貸してもらう為にある場所へと来ていた。
「貸せん!」
城内とは別にある建物、隣の騎士達の宿舎へ馬を貸してほしいと頼みに来たコリンとアリナ達に対して、サイラードがきっぱり貸せないと断る。
他の騎士と違ってサイラードなら差別せず、貸してくれると考えていたアリナの期待は早くも裏切られていた。
「えー?1頭だけで良いのに、あたしが乗ってその後ろにコリン君乗せてそれで村行くからさ」
「駄目に決まっているだろう、僅かしか乗馬経験の無い者が騎士団の馬を操り遠く離れた村へ行くのは無理だ!見た目より簡単じゃないんだぞ!?」
「マジで!?漫画とかゲームじゃ乗馬経験が皆無っぽいのでも当たり前のように馬乗って移動とか空飛ぶ魔物操って飛んだりしてたけどなぁ〜…」
素人では馬を自在に走らせて長距離を移動は至難の業、危険だという理由でサイラードは馬を貸す事を許可せず。
だとしたら此処で馬に乗る練習を積み重ねて、乗れるようになって村に行くべきかと、アリナが考えている時だった。
「小隊長、我々が彼らを乗せて連れて行くのが良いかと」
一同の前へと進み出る一人の人物、それは青髪ロングの女性騎士で、身長はアリナと同じぐらいで170を超えている。
頭以外の体全体をフルプレートで包む重装備のサイラードと違い、手足を露出させており防御面よりも、機動性を重視した女性向けの鎧を身に着けていた。
「聞けば彼らは今起きてる問題の為にルスティカ村へ向かうとの事、帝国領内で起きている問題を我々白銀騎士団としても放置出来ないでしょう」
「うむ…そうだな、流石に多くの騎士は動かせんが俺とミディサで彼らと共に向かうべきか。2人だけに問題を押し付ける訳にはいかんしな」
サイラードにミディサと呼ばれる女性騎士、彼ら2人がそれぞれの馬でコリン達を目的地まで乗せてくれるようだ。
「白銀騎士団のミディサだ、ルスティカ村には我々が責任を持って送る」
凛とした表情で、ミディサはコリンやアリナへと挨拶をする。
「おおー、まさに女騎士!実は国の姫だった、とかなら姫騎士になっちゃうね〜」
ミディサの姿を眺めていたアリナ、実はこんな身分だったという妄想を働かせていた。
「僕の事、送り届けてくれるの?」
自分が魔王である事、帝国の騎士ならば知らないというのは無いはず。
それでも自分から協力してくれるミディサに、コリンは彼女の顔を見上げて声をかける。
「お前達は盗賊団の魔の手からシャリアを救ってくれた、あの子は幼い頃から私の妹のような存在でな…それを救ってくれた事に感謝しているんだ」
昨日ブレイザ達によって攫われていたシャリア、それを救出してくれたコリンやアリナに、ミディサは深く感謝していたのだ。
「あの子の知り合いだったんだー」
「意外な繋がりってヤツだね、おかげで騎士団からもちょっとは信用されてきたんじゃない?」
助ける前はサイラード以外、警戒したり敵意を向けられてきたコリン。
だがアリナと共に解決した昨日の一件を経て、それも少し変わりつつあるのかもしれない。
コリン達はサイラード、ミディサと共に問題のルスティカ村へと向かう。
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アリナ「しかしコリン君と2人で乗馬出来るかと思ったら、そこはちょっと残念…はっ!横から参加してきたミディサ姐さん、まさかコリン君を自分の馬に乗せて目的地まで甘い時間を過ごす為に!?」
ミディサ「勇者殿は私の馬で、彼は小隊長の馬だが?」
アリナ「あ、男同士と女同士…ですよね〜」




