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マタギの孫をなめんなよ!【書籍化】  作者: ハーーナ殿下
【『魔獣喰い』18歳の女難】の章

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135/204

102羽:温泉回オールスターズ




木々の葉の色は濃くなり始め、季節の変わり目を知らせてくれる



遠くまで見渡すと一面を緑色の絨毯じゅうたんを敷いたように深緑が広がる



そこにぽっかりと一か所だけ穴が開き、何とも言えない匂いと湯気が上がっている



耳を澄ますと何やら大人数の楽しそうな話し声が聞こえ、森に住む獣たちはその気配を察し避けるように移動する



そこはかつて森に住む獣たちも使用していた聖なる場所だったが、ここ数年は人間達により占領されていた







「いや~、久しぶりに入ったがこの“オンセン”というものは本当に素晴らしいな」



頭の上に折り畳んだ布を乗せた青年騎士レオンハルトは、湯で顔を赤く染めながら手足を伸ばし“オンセン”を満喫していた



「オレは始めて入ったが、この腐った様な刺激臭や乳白色も慣れてくればいいものだ」



素の銀髪の上に、これまた同じように折り布を乗せた『赤髪』ガエルは、身体中の古傷にお湯をかけるようにしながら素直に感想を述べる



「ガエル、その布は決して湯につけてはならぬ。森の精霊の呪いにかかるぞ」



ガエルの隣にいた森の戦士『岩の矛』イワノフは、初めて入る帝国の司令官に“オンセン”のマナーを教える



それ以外にも“オンセン”には多くの森の戦士達が入っており、先の戦の傷や疲れを癒していた





(いや~、これまた随分と賑やかな事だ・・・・何でこうなったのやら・・・)



その光景を見ながら『魔獣喰い』マジウスは、いつの間にかこうなった経緯を思い出していた




イスラマ神聖皇国とベール王国との戦いが終わり、和平協定が結ばれた



皇国軍は全軍退却し、ベール王国に束の間の平和な時間がまた訪れる



最低限の守備兵を残し各諸侯の軍団も解散し、それぞれの自分の領地に戻って行く



受勲式に出ていたオレたちは、数日前に帰郷した戦士団を追うように大森林に帰って来たのであった





今回の戦いは森の部族の歴史の中でも、初めて経験した大きな戦だった



多勢の敵軍の中に突撃した森の戦士たちは予想以上に負傷しており、下界から少し入った所にあるこの“聖なる泉”こと“オンセン”で癒すことになった



それに何故か付いて来たのがここにいるヴェルネア帝国の司令官ガエルと、下界のグラニス侯爵家当主レオンハルトたちだ



ヴェルネア帝国からの援軍兵は『弓公子』アベルと共に先に帰国し、グラニス軍も自領に戻っていた



仮にも組織のお偉いさんの二人なので暇ではないだろうが、勝手に付いて来たので誰も気にしてはいない



この二人を含めて、この湯に入っている戦士達は、皆あの激戦を生き抜いてきたのだから、これぐらいの褒美も必要だろう



(それにしても久しぶりに来たら、ここも随分と広くなっているな・・・)



数年前に発見した時は三十人も入れば一杯なこの“オンセン”だったが、今は大拡張され森の戦士数百人が入ってもまだ余裕がある



湯量に余裕があった事もあり、自然の地形を利用し大拡張されていのだ



(こういうのはきっと獅子姫ちゃんの指示なんだろうな、きっと)



と言っても基本的には森の中にドカンとある大露天風呂あるだけで、それ以外の施設は無い



唯一あるのは下界から湯治に来る人間用に、過去に建てられた小さな宿泊施設だけだ



森の部族は狩り先では野宿が当たり前なので、今回傷を癒して連泊している者も普通に夜営している



一見すると危険だと思うが、最近はこの“オンセン”には常に誰かが常駐しているために獣も近づかないという



(それにしてもみんな傷だらけだな・・・・中には手足の肢体を失っている者もいるし・・・)



この“オンセン”に入っている者は、基本的に怪我の治療や病の療養の者だけだ



“オンセン”は元々“聖なる泉”と呼ばれていた事で分かるように、その効能が桁違いに優れている



怪我や不治の病に特に効果を発揮し、最近では精霊神官の薬草や精霊術と組み合わせる事により、大怪我ですら数日で完治するまでになった



手術の発達していないこの世界で病院代わりとでもいおうか



そういった事もあり、今は大森林の中でも重要拠点のひとつとして森の民に愛されていた



頭の上にタオルの代わりに折り布を乗せたり、お湯に入る前に体の汚れを流してから入浴するスタイルは、この泉に最初に入ったオレのやり方がいつの間にかマナーとして定着していた



森の民は普段は各村の近く流れる小川で水浴びをする習慣はあったが、こうやって熱い湯に入る事も最近は慣れてきていたようだ



(下界での戦いで色々とあったけど、こうやって温泉に入ると、体と心が洗われるようでサッパリするな・・・・心まで清くなりそうだ・・・・)



オレはそんな事を思いつつ湯を満喫する





チラッ



まさに歴戦の達人が間合いを詰めるように、また武を極めた老師が相手の虚を突くような絶好のタイミングでオレは横をチラ見する





「獅子姫様の入るこちらにあと一歩でも近づいたら、お命頂戴する」



獅子姫の護衛のオジサンが、相変わらず鋭い目つきでオレに殺気を飛ばしてくる





「マデレーン王女の入浴を覗こうものなら、わが命かけて防ぐぞ』



ベール王国中で『聖騎士』と人々に賞賛される近衛騎士ヘルマンが、修羅のような睨みを効かせこちらを見てきた





「聖女エレナ様の御身はマリオ様より言いつけられています。乱心あるならば容赦はいたしません」



黒色の装束に身を包んで男が、小刀を見せながらこちらに無言のプレッシャーをかけてくる



名前は“ハンゾー”って名乗っていたけど、どう見ても“ニンジャ”だよね





オレの絶妙な“間”も、男子風呂と女子風呂の境目板の前に仁王立ちするこの三人の猛者に気付かれ釘を刺される



「はっはっは、覗くなんてそんなハレンチな事をする訳ないじゃないですか」



オレは乾いた愛想笑いをしながら再び視線の戻す



(必ず、ひと目でいいので絶対に覗いてやる!こんな勢揃いのチャンスはもう二度とないだろう)



『魔獣喰い』ことオレはそう心に誓い、静かな戦いを始めるのであった








一方、板壁を挟んだ女子露天風呂の方は『魔獣喰い』が言う通り、これまでにない位に賑やかで華やかであった







「それにしても、みんなは随分と豊満な身体をしているのだな」



まだまだ幼い少女である研究軍師セリーナは、少しだけ膨らんでいる自分の小さな胸に手を当て他の女性陣の体つきを観察する



線が細いその身体ではあるが、徐々にではあるが大人の階段を一歩づつ上っていた





「セリーナはまだ幼いからしょうがないわよ。先ほど聖女様に聞いた話では、皇都にいるセリーナのお姉さまたちは皆さん大きな胸をしているというし、歳をとれば貴女も自然と大きくなるわ」



セリーナの少し悲しそうな顔を見たベール王国のマデレーン王女は、彼女を元気づけようと励ます



そのマデレーンの体は以前よりも更に女性らしく成長しており、宮廷でお付きの女官により手入れされているきめ細かい肌は、温泉の湯を弾き輝く金髪と共に胸の谷間に流れ落ちる




「マデレーン様、先ほどもお伝えしましたが“聖女”などと呼ばずに、どうぞ“エレナ”と私の事は気軽にお呼びください」



マデレーンの隣でそう微笑みながら伝えるのは、イスラマ神聖皇国で“聖女”と呼ばれ国民に愛されている戦乙女エレナである



身長が低く童顔な彼女だが、その身体つきは健康的に引き締まり、胸や腰も形のいい膨らみを強調している



先の戦いではグラニス本陣に勇猛果敢に突撃してきた少女だが、その肌はキズひとつなく白く輝いている



何でも神の加護があるとかで、人外の膂力以外にも尋常ならざる傷の回復力を持っているという



産まれたての赤子の柔肌のように水気を含んだ肌



まさに聖女という名に相応しく、同姓から見てもその裸体は神々しい




「そうだぞセリーナ、年齢と共に胸は成長するが、慢心せずに私のように日々努力もしないといけないのじゃぞ」



胸の大きさの話になると人一倍敏感な女性が、ここにももう一人いた



数年前よりも幾分かは形よく膨らんだ胸を強調するように、獅子姫は自分の身体を見せつけてくる



何でも下界の貴族夫人で流行っている健康法やら豊胸法やらをいろいろ試しているようで、その涙ぐましい成果もあり少しだけ成長していた



それでも実姉や豊満な女性陣に比べたらまだ可愛いものだが・・・





「私などは年中男性用の騎士鎧を着ているので、正直胸が苦しいであります」



いつもは長布をサラシの様に胸に巻いているグラニス侯爵家女近衛騎士スザンナが、恨めしそうに自分の胸を見る



普段は無骨な鎧姿で気付かないが、こうして裸になると長身に比例したその大きめの胸元はドキリとする色気が出てきた




「そうだな胸など邪魔の何物でもない。将来子を宿し育てる事さえなければ切り落としたいくらいだ」



この女湯の中でも、ひと際“大きく”存在感を放っている女戦士『黒豹の爪』は、健康的に日焼けした肌とそのはち切れんばかりに膨らんだ胸元を鬱陶うっとうしそうに見る



本人はそう言ってはいるが、筋肉質ではあるがその引き締まった全身と、大きく膨らんだ胸は女性として十分に色気を感じさせる




「確かに色々と大変かもしれませんね。でも、殿方は皆さん胸が好きだと書物にも書いてありましたし、大事にしていかないといけませんね」



この中で“最大級”



精霊神官『清い水』レティーナは小柄でありながらも、それに反比例するほど大きな自分の胸を愛おしそうに撫でる




「・・・・前から思っていたのだが、その中身はどうなっているのじゃ?」



獅子姫を始めとする、女軍師セリーナやマデレーン王女、聖女エレナの小振り軍団は精霊神官の重力に反するその胸を触り感動する





「・・・・成る程、その内に女性の胸についてもじっくり研究せねばならんのだな」



研究軍師セリーナは各国大小の風景を眺めながら、また新たなる研究対象に心を浮かれるのであった








「はぁ、はぁ、はぁ・・・着いたぞ・・・・」




『魔獣喰い』はこれまで鍛錬した技と、大砦と下界で積んだ経験をフルに使った



更に“森徒”?として覚醒し始めている自分の特殊能力を無駄に発揮して、何とか凄腕見張りの三人を振り切ることに成功した



これ程までに神経をすり減らし、命がけだった事は今までなかっただろう



この実力を普段から使えたなら、一国の王の寝室に忍び込む事も、魔素の“敵”の背後を取る事も可能であろう



それ程の隠された実力を“無駄に”発揮して、『魔獣喰い』は女湯の覗きポイントに到着した




・・・・・そして例によって




時間が経ち過ぎた女湯は全員が上がった後であった








翌朝、森の中を進む任務を達成できなかったオレの足取りは重い




だがこの道の先には久しぶりの大森林最大集落の“大村”がある




そう思うと少しは気が晴れてくる



(もうすぐ年越しの精霊祭の季節だな・・・・今度こそゆっくり過ごしたいな・・・)




そんなのんびりした妄想をするオレだったが




大村で待っていたのはこれまでにない位の“強敵”であった






『現在の大きさランキング』



1位:精霊神官ちゃん

2位:女戦士『『黒豹の爪』

3位:グラニス伯爵夫人(レオンハルト母親)


―――越えられない壁――――


4位:大砦司令官 白猫姫(現在放浪中)

5位:グラニス家女騎士スザンナ 

6位:ヴェルネア帝国 槍師匠ヘレナ(未?登場)



―――越えられない壁――――



7位:ベール王女マデレーン

8位:聖女エレナ

9位:獅子姫

10位:皇国女官騎士エマ

11位:知恵の実セリーナ




※『魔獣喰い』の透視妄想能力のデータを基に“皇国データバンク”が独自に作成しました


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