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鬼火 第33話

 しばらく考え込んだ末、拓哉は決断した。


「――五分後に行動を開始しましょう」


 携帯電話の向こうで、宮前が不安そうな声を上げる。


「よろしいのですか? もう一人の方は……」


 拓哉は小さく舌打ちした。


「アイツ(綾乃)には、できる限り俺から連絡を入れておきます」


「わかりました……」


 宮前との通話を終えると、拓哉は深いため息をついた。


 『何をやってるんだよ、綾乃……』


 嫌な予感が胸の奥で膨らむ。


 拓哉はすぐに携帯を操作し、綾乃へメールを送信した。


 ――五分後に開始する。


 ――連絡が取れない。無理だけはするな。


 短い文章だったが、今の拓哉にできることはそれだけだった。


 ◇ ◇ ◇


 数分後――。


 旧校舎の電気室では、綾乃が剛志と向かい合っていた。


 その時、不意に綾乃の携帯電話が震えた。


 メールの着信だった。


 画面に表示された名前を見て、綾乃は思わず表情を緩める。


「ちょっと、ごめんね……」


 そう言うと綾乃は剛志から少し離れ、部屋の隅へ移動した。


 そして拓哉から届いたメールを開く。


 綾乃が真剣な表情で内容を読み始めた、その時だった。


 背後から剛志の声が聞こえた。


「……やっぱり、始めるんだね」


 綾乃はハッとして振り返る。


 だが剛志は、まるで最初から知っていたかのような表情で、静かに機械を見つめていた。

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