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鬼火 第31話

 「わ、私も宮前さんの知り合いです。」


 綾乃は一瞬言葉に詰まり、とっさにそう答えた。


 剛志は綾乃の顔をじっと見つめると、小さく笑った。


「……そう。」


「なら、宮前さんはまた、あの機械を止めようとしているんだね。」


 その一言に、綾乃は息をのんだ。


 『どうして、そのことを知っているの?』


 それは宮前と拓哉、そして自分しか知らないはずだった。


 綾乃は思わず一歩後ずさる。


「あなた……何者なんですか?」


 剛志はその問いには答えず、部屋の奥を見つめた。


 機械の低いうなり声だけが静かに響いている。


「今日は……やめた方がいい。」


 剛志はぽつりとつぶやいた。


「今日は、あの機械の様子がいつもと違う。」


 綾乃は眉をひそめる。


「様子が違う?」


 剛志はゆっくりとうなずく。


「まるで何かに怯えているようで……。」


「同時に、誰かを近づけまいとしている。」


 その横顔は、長年その機械を見続けてきた人間のようだった。


 そして静かに綾乃を見た。


「このまま止めようとすれば……。」


「たぶん、死人が出る。」


 部屋の空気が一瞬で凍りつく。


 綾乃は剛志の言葉に背筋が寒くなった。


 それは脅しではなかった。


 まるで、これから起こる未来を知っている者の口調だった。

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