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鬼火 第28話
役割を確認し合うと、拓哉と綾乃は旧校舎の廊下を駆け出した。
静まり返った建物に、二人の足音だけが響く。
その時――。
ブルルルル……。
突然、拓哉の携帯電話が鳴った。
拓哉は足を止め、携帯電話を取り出す。
「……もしもし。」
電話の相手の声を聞いた途端、拓哉の表情がわずかに険しくなった。
「……わかった。」
短くそれだけ告げると、電話を切り、携帯電話をポケットへしまう。
何事もなかったかのように再び走り出した。
綾乃はその横顔を見つめながら尋ねる。
「誰からだったんですか?」
拓哉は前を向いたまま答える。
「ああ……ちょっとな。」
それ以上は何も言わない。
綾乃はますます不思議そうな表情を浮かべた。
やがて分かれ道に差しかかる。
拓哉は立ち止まり、綾乃を見た。
「ここから先は別行動だ。」
綾乃は力強くうなずく。
「はい。」
拓哉は少しだけ口元を緩めた。
「ヘマするなよ。」
「今度ばかりは……助けに行ける保証はない。」
その言葉に綾乃は緊張した表情でうなずく。
「わかっています。」
拓哉は軽く手を上げると、自分の持ち場へ向かって走り去った。
綾乃もまた、大学の管理棟へ向けて駆け出す。
静まり返った旧校舎には、再び二人の足音だけが響いていた。




