鬼火 第27話
拓哉はしばらく考え込んだ後、静かに口を開いた。
「……同時に三か所から、あの機械を止めよう。」
「えっ? 三か所からですか?」
綾乃は驚いた表情で拓哉を見つめる。
拓哉はうなずいた。
「一つでも遅れれば、この機械はまた抵抗してくるかもしれない。」
そう言うと、宮前へ視線を向ける。
「宮前さん。まだ動けますか?」
宮前は痺れの残る腕をさすりながら、小さくうなずいた。
「ええ……何とか。」
「よかった。」
拓哉は短く息を吐くと、二人に役割を説明し始めた。
「宮前さんは、この部屋で機械本体を停止してください。」
「はい。」
「俺は旧校舎の分電盤を落とす。」
そして最後に綾乃を見る。
「綾乃、お前は大学の管理棟へ行け。」
「管理棟?」
「大学全体のメイン電源を落とすんだ。」
綾乃は一瞬ためらった。
「でも……三人が別々に行動したら危険じゃ……。」
拓哉は静かに首を振る。
「時間がない。」
「この機械が本当に意思を持っているなら、一方向から止めようとしても必ず邪魔してくる。」
部屋の中央にある機械を見据えながら続ける。
「だから三方向から、一気に仕掛ける。」
宮前も真剣な表情でうなずいた。
「それしか……方法はありません。」
その瞬間――
ブゥゥゥン……。
部屋中に低い駆動音が響く。
誰も触れていないはずの機械のランプが赤く点滅を始めた。
まるで三人の作戦を聞き届けたかのように。
拓哉は機械をにらみつけ、小さくつぶやく。
「……どうやら、時間との勝負になりそうだな。」




