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鬼火 第26話

『そんなことがあったのか……。』


 拓哉は宮前の話を聞き終え、部屋の中央で低いうなり声を上げ続ける機械を見つめた。


 機械は何も語らない。


 だが、その無機質な存在が、生き物のような不気味さを放っていた。


 綾乃は宮前へ視線を向ける。


「このまま放っておけば、また被害が出るかもしれません。」


 少し間を置いて、


「何か……あの機械を止める方法はないんですか?」


 と尋ねた。


 宮前は苦しそうに目を伏せ、小さく息をつく。


「方法がないわけではありません。」


 拓哉と綾乃は同時に宮前を見た。


「大学全体のメイン電源を落とせば、この装置も停止するはずです。」


「はず……?」


 拓哉が眉をひそめる。


 宮前は静かにうなずいた。


「ですが、それで終わる保証はありません。」


「私は何度も停止を試みました。そのたびに、この装置は予想もしない反応を見せたのです。」


 綾乃は思わず息をのむ。


「まるで、自分を守ろうとしているみたいに……。」


 宮前は苦い表情を浮かべた。


「ええ。」


「もし電源を落とそうとすれば、今度は何をしてくるかわかりません。」


 その瞬間だった。


 ピッ……。


 三人の背後で電子音が鳴る。


 誰も触れていないはずの機械の表示ランプが、一斉に点灯した。


「なっ……!」


 綾乃が思わず振り返る。


 モニターには何も映っていない。


 それでも装置は、まるで三人の会話を聞いていたかのように、小さな駆動音を響かせ始めた。


 ブゥゥン……。


 拓哉は機械から目を離さず、小さくつぶやく。


「……俺たちが電源を落とそうとしていることを、あいつは知っているのか?」


 部屋の空気が、一瞬で張り詰めた。

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