鬼火 第25話
宮前は静かに息をつくと、再び機械へ視線を向けた。
「いつ頃からでしょうか……。」
「この機械の異常は、あの工場へ向けられるようになっていったのです。」
拓哉は黙って耳を傾ける。
「最初は工場内の機械が突然停止したり、電気系統が故障したりする程度でした。」
宮前は苦い表情を浮かべる。
「ところが、それだけでは終わりませんでした。」
「異常は次第に激しくなり、不審火が相次ぐようになったのです。」
綾乃が小さく息をのむ。
「まるで……。」
宮前は言葉を選ぶように続けた。
「まるで、この機械が工場そのものを憎み始めたかのようでした。」
部屋に重苦しい沈黙が流れる。
「もちろん、そんな話を信じる人はいません。」
「だから私は、原因が何であれ、この機械だけは止めなければならないと思いました。」
宮前は力なく笑う。
「何度も停止させようとしました。」
「ですが、そのたびに装置は勝手に再起動し、私を近づけまいとするように
放電を繰り返したのです。」
拓哉は先ほど宮前が感電した様子を思い出した。
「あれは偶然じゃなかったのか……。」
宮前はゆっくりとうなずく。
「ええ……。」
「まるで、この機械自身に『触れるな』という意思があるかのようでした。」
その瞬間――
ブゥン……。
部屋の中央にある装置が低いうなり声を上げ、青白いランプがゆっくりと点滅を始める。
三人は思わず息をのみ、その機械を見つめた。




