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鬼火 第21話

 突然の声に、綾乃は反射的に振り返った。


 そこには、旧校舎の管理人・宮前が静かに立っていた。


 綾乃は素早く拳銃を抜き、宮前へと向ける。


「動かないでください!」


 鋭い声が静まり返った部屋に響く。


「あなたを拘束します!」


 だが、その直後だった。


「綾乃、拳銃を下ろせ。」


 拓哉が低い声で言った。


「えっ……?」


 綾乃は驚いて拓哉を見る。


「でも、この人が――」


「まだ犯人と決まったわけじゃない。」


 拓哉は宮前から一瞬も目を離さず、静かに続けた。


「本当に俺たちを襲うつもりなら、こんなふうに姿を現したりはしない。」


 綾乃は戸惑いながらも、ゆっくりと拳銃を下ろした。


 宮前はそんな二人を見つめ、小さく息をつく。


「……ありがとうございます。」


 そう言うと、彼は二人の横を静かに通り過ぎ、部屋の奥に設置された奇妙な装置へ向かって

 歩き始めた。


「安心してください。私は逃げも隠れもしません。」


 宮前は装置の前で足を止める。


 その表情には、焦りの色が浮かんでいた。


「ですが、この装置だけは止めなければなりません。」


「止める?」


 拓哉が眉をひそめる。


 宮前はゆっくりと装置に手を伸ばしながら、小さくうなずいた。


「このままでは、また誰かが犠牲になります。」


 その一言に、拓哉と綾乃は思わず息をのんだ。

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