82/86
止められない
顔布の軍団がグングンとセキに詰め寄り、神使による喧々諤々の論争が始まった。
「なにやってんだ、あいつら。相変わらずちっせぇなぁ」
「ほんと、修行が足りないんじゃない」
「な~~にが神使だィ」
「………なんと情けない」
顔見知りによる、嘆かわしい感想。さすがの岳もこれはフォローできない。「はぁ」と重く嘆息し、ポリポリと頭を掻いた。
「サラ」
彼らとは違い、初めての光景を楽しそうに眺めていたサラ。その肩に、リルが止まった。
「……フジが暴走してる」
「………」
「隠れっぷりはお前譲りの逸品。探そうにもあいつが逃げてる。皆、頭抱えてるよ」
「………」
「――どうする?今のアイツは、誰にも癒せない。止めることもできない」
「私にはどうもできないよ。どうにかできるのは、今を生きる者だけだよ」
「でも、おま――」
次を人差し指で制し、笑った。
「うちの子を甘く見てると、痛い目見るよ?」
脅すようなそれに、目をパチパチと瞬かせた。
「――私を、誰だと思ってんの?」
「……………」
問答無用の強気に呆気にとられた後、「参りました」と白旗を上げた。
「……伝えとくよ」
その答えに、サラは満足げにニィっと大きく笑った。
「!」
細まっていた双眸がパッと見開き、長い睫毛が揺れた。
動く視線。リルもそれに気づき、追うと――
レイが、いた。




