偶然
「……これが偶然か」
一人になった部屋で、テオには気になることがあった。
今回の大騒動の発端となったのが、東の大国〝ロンファ〟を震源とした未曽有の大災害。
これは自然発生的な『自然災害』ではなく、人為的に引き起こされた『人災』である可能性が高い。
(分割されるか、傀儡になるか……)
世界最大にして最高、最重要の機関である『世界連邦』。
これだけの事態だ。今回の件に関して、間違いなく各国首脳による会議が開かれるだろう。
(問題は、どこが出てくるかだが……)
加盟国は数あれど、その中で特別な権限を許された国がある。
創設に携わった6か国。この栄枯盛衰の世で、例え王がいなくなろうとも、国名が変わろうとも、領土が変化しようとも、彼らの特権が失われることはなく、その座に居続けている。
ロンファは、そこに名を連ねていた。
(敵の敵は味方。全ては共通する敵がいればこそだ)
それがなくなった今、かつての仲間は利害を巡ってバチバチと火花を散らし、陰険な腹の探り合いを続けている。
(……絡んでるのは間違いない)
強大な権利と影響力を持つ大国が崩れれば、当然世界のパワーバランスが崩れる。実際、世界は今大混乱だ。
(おそらく、こっそり支配するつもりだったんだろうが……予想外だったのがこの大災害だな)
見え隠れする『神』の存在。それは今の世、『国』以上に力を持つ。
「………龍の国か」
それはロンファの別名。龍は皇帝のシンボルであり、皇帝は『神』だった。
彼らは独自の文化を有し、それは周辺各国、ひいては世界各国に影響を及ぼしていた。
「…………〝ユエ〟」
聞き慣れぬ音は、その産物だ。
神の裏には、悪魔が潜んでいるかもしれない――……




