神使
「ジェイ!」
開眼した黄金を覗き込む紅茶色。心配そうな瑠璃色もいる。
「大丈夫か!?」
「………」
痛む頭部を抑えながら、ジェイデンはゆっくりと体を起こした。レオンもそれを補助する。
「お前、すげぇタンコブできてるぞ。……いてぇだろ」
レオンはわかる。何度も味わったことがある。……これは効く。
「………」
ジュリアは電気ショックだ。それによって、仮死状態だった彼は息を吹き返した。
(……血か)
ジェイデンは、自ら起き上がった。
本人は事態を呑み込めていないようで、なぜ頭が痛むのかを理解しようとしているようだ。
そして、彼らは別の所で騒いでいる。
「どけ、化け猫!」
「だぁ~~~れが化け猫だィ!おいらは猫又だ!!」
「妖風情が偉そうに」
「はぁ~~~!?お前らもたかだか『使い』じゃねぇか!!偉いのはてめぇじゃねぇだろィ!このパシリが!!」
大人げない三人。その頭上に、親子からジェイデンと同じく鉄拳がお見舞いされた。
「っくくく……さすがやねぇ」
「ハクレン様!」
いつの間にか、傍に姿があった。
彼らの暴挙とも言える行為に、至極。満悦の様子。
「……あのお方は……?」
レオンは、初めて見る存在を訪ねた。
「尾があるのがカサギさん、角があるのがナガラさん、異眼の人が又吉さん。又吉さんは妖やけど、あとの二人は『神使』や」
「……シンシ?」
「神の使いや。あの顔布は修行を経た高位の証であり、俗世との境界。決して顔を晒すことはない」
「へぇ……」
シェリーもぱちくりと目を瞬かせた。
「あの人らはこれまた、揃いも揃ってえっらい神に仕えてる。その御使いやから、とんでもなく偉そうなんよ。……でも、どうやらあの人らには敵わんようやな。っくくく……」
口調や素振りから彼らの地位の高さは見受けれらたが、サクヤ・ヨシノ親子に軽くあしらわれる様子を見れば、そうは見えない。
もう一人のナオエにしてもそうで、サラを前に完全に主導権を握られている。
「あれらと同列に語るでないわ、小童」
「あ~~~らまぁ」
白蓮がニヤリと向いた先にいたのは、伊勢の眷属――セキ。彼もまた顔布をした神使で、白髪に赤毛が混じった特徴のある髪色をしており、そのスタイルは『トサカヘッド』と呼ばれている。
「我らが〝伊勢〟は最も格式高い一族。そこらの有象無象と一緒にするでない、無礼であるぞ」
静かながらも腹の奥から張った堂々たる発言に、ワーワーギャーギャーと騒いでいた声がぴたりと止まった。そして『有象無象』からは殺気にも似た何かが放たれた。




