プレミアの絶滅種
空の目の前には、美しく輝く桃源郷の月。
「……プレミアの、絶滅種?私がか?」
コクン、と一つ頷く。
「でも、私がいる。絶滅してないぞ」
『お前は混血だろ』
「ん?」
『お前の国はとうの昔に滅び、存在しない。生き残った人間も混合が進み、純たる血は絶えた。だから『絶滅種』だ』
「バカ言っちゃいけないぞ。滅びてない。みんな元気だ」
『俺もそう思う。だから、お前の力を借りたい』
「私の?何のだ?」
『今、プレミアは高値で売買されている。そうゆうのを集めるのが趣味な変態がいるんだ。お前の家族は外にいるんだろ?それはつまり、奴らが危険ってことだ』
「それはダメだな。助けにいかないと」
『だろ?そこで――いい考えがある』
「なんだ?私にできることなら何でもするぞ。私、みんな助ける」
月が――恐ろしいほど綺麗に笑った。
「おい、コラァ~」
ズカズカと土足でノックもなしに部屋に侵入したフランツ。10秒待って返信が来なかった為、痺れを切らしてマクシミリアンの元へ乗り込んで来たのだ。
「俺を待たせるたァ、いい度胸してんじゃねェか」
機嫌を損ねたからか、ねちっこく嫌味ったらしい。
「―――!?」
飛び込んで来た、予想外の光景。それは、床の上で失神している主の姿。
「おいっ!!」
顔は真っ青に変色し、あの超絶的な美少女の面影は微塵もない。
(……眼鏡……)
たぶん、仕事をしていてそのまま倒れたのだろう。そこは、自身のデスクのすぐ側。椅子が変な方を向いたままだ。彼の性格からして、こんなことは通常はありえない。
探し物はデスクの上に、彼らしく綺麗に置かれていた。このアンバランスさからして、使っていなかったと見てまず間違いない。
マクシミリアンは『共感覚』という特殊な能力の持ち主。目が悪くない彼がいつも眼鏡をしているのはそれのせい。
「!」
思い出した。
フランツは血相を変え、即座に動いた。マクシミリアンをそのままで放置し、気を失う直前まで操作していたであろう端末を起動させた。
「……これは……!」




