最大の侮辱
(……毎回のことながら、完膚なきまでに完敗だな……)
ジェイデンは、何度も何度も取り戻す為にジュリアに向かっている。しかし、その度に返り討ち。たった数秒で瞬殺だ。
「…………」
やられ、ベッドで眠る彼をレオンは眺めた。
ジェイデンの部屋はレオンやシェリーが用意されているようなものではない。アレキサンダーや『医療』の者が定期的に回診に来る病室だ。
「………なぁ」
聞こえているかわからない。届いているかわからない。今でも彼が反応するのは『ジュリア』だけだ。
それでも、言わなければと思った。
「愛されていると知っていて、それを無視することは相手に対する最大の侮辱なんだぜ?」
いつか届けばいい。そう、願いを込めた。
『バカじゃないの!?ふざけんなっつーの!!』
パチン、と目が開いた。
腕の中には、眠り姫。
「………」
夢は見ない。でも、時々見るようになった。
レイはほとんど眠らない。横になることもない。座ったまま目を閉じるだけ。
身体に染み込んだものはそう簡単に消えない。
「………」
一度眠ると、なかなか起きない。最初は眺めていただけだったが、いつの間にか一緒のベッドで眠るようになった。
常に気を張り、些細な物音や気配で起きる。誰かと一緒に眠るなど、全く一度もなかったことだ。
「………」
消灯された部屋は暗い。彼女にはちゃんと自分の部屋とベッドがあるが、帰って来た時はここに入り浸り、ここで眠る。
レイの部屋は『親子の部屋』だ。
「………ジュリア」




