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DOG  作者: 井上たつき
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ゆめ

『ジェイ、こっちにおいで』

 川の向こう岸。優しく手を差し伸べる父がいる。

『大丈夫、怖くないよ。おいで』

 そうやって、いつも歩みを止めて。自分が来るのをずっと待ってくれていた。

 優しくて温かな、大きな手。

 どれだけ怖くても。立ち止り、迷う脚が前に出なくても。いつもそれがあった。

 それがあったから、進むことができた。歩くことが、飛ぶことが、生きることができた。

『さぁ、頑張れ。お前ならできるよ』


〝ジェイデン〟


「―――――」

 そこに、父はいなかった。故郷でもない。

 あるのは、白い景色。消灯の薄暗さにぼんやりと浮かんでいる。

「………ゆめ」

 ポソリと、一人呟いた。

「………とうさん」

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