幕間4 閣議前の雑談
菅「柏木、ゆうべ、なに食べた?」
柏木「……!」
(柏木の内心)
……Master。この私が水すら飲まぬことを承知の上で、敢えてその質問をなさるとは……なるほど。昨夜休暇を取ったこと、そしてその動向について何気なく探られるおつもりか? その眼、眼差し、やはり……。ここは正直にお答えするが最善だろう。……いや、本当にそうだろうか。ありのままを報告すれば……おそらくMasterは笑われる。いや……笑いで済めばまだマシだ。さらに突っ込まれて聞かれた場合……このMasterへの想いを告白することになる。やはり、やめるか。ここは適当に誤魔化すが先決か。……いやいや、それこそMasterへの裏切り。主よ、この私に真実を告白する勇気をお与えください。……! Masterが腕の時計を確認しておられる。そうだ、じき閣議が始まる。この私がMasterの貴重なお時間を無駄に消費してどうする。言え! 柏木宗一郎! 言ってしまえ! 高く聳える天主堂の屋根から飛び降りるつもりで!
(菅の内心)
……え? どうしてそこで……黙る? わたしは移動前の軽い雑談のつもりだったんだけど。そんな答えにくいこと? え? なんで眼を逸らす? ちょっと……手が震えてない?もしかして、なんかやったの? まさか! 暗闇で好みの人間とバッタリ会って、ハンカチ落としましたよ、あ、すみません的な流れでチュ~っと? 柏木。君が同胞作らないって決めてることは知ってるよ。だから、吸血=殺人。君は仮にもわたしの従者。もし問題起こしたら……おおごとだ。君を変えたのはこのわたし。つまり、君の罪はわたしの罪だ。……いいよ、腹は決まった。正直に言うんだ柏木宗一郎。わたしがすべて受け止める。本当だ。君をひとりで出頭などさせやしないさ!
柏木「実は昨夜……ひとりカラオケなど」
菅「え? カラオケ?」
柏木「えぇ。食事はしておりません」
菅「してない? なんだ! よかった~~!」
柏木「……?」
菅「で、どんな曲歌ったんだい?」
柏木「……B’zの……LOVE PHANTOMなど」
菅「へぇ。80年代?」
柏木「…………90年代です。Master」




