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第三十九話 インターホンの女の正体を証明するため、美魔女の母が実家に乗り込んできました。すべての誤解が解けた時、思いがけない幸せな報告が待っていました

いつもお読みいただき、ありがとうございます!


暁子の家に突如現れた、悟の家にいたはずの女性。

修羅場必至かと思われた玄関先ですが……事態は姉小路クレアの提案した「一肌脱ぐ作戦」により、予想外の種明かしへと向かいます!

長かった軟禁騒動とすれ違いに、ついに終止符が打たれる最高の大団円をお見逃しなく。

「悟さんの、お母さま?」


「何を適当なことを言っているの、この女は。尾上悟さんは今年で三十歳と聞いてます。そんな若い母親がこの世の中のどこにいるというの!」


 お母さんはバカにされたと思ってカンカンに怒っている。


「ここにいますわ。さあ!」


 尾上麻子、と名乗るその女の人は、ショルダーバッグのフタを開けて長財布から恭しく運転免許証を取り出し、私たち母娘に差し出した。


「昭和四十◯年十月二日生まれ……住所、名古屋市東区……お母さん、これ、本当よ!」


 私は断片的に知っている悟さんのお母様の情報から、この人が本当に悟さんのお母様だという事を確信した。


「あなたまで何を言い出すの、曉子!」

 すると、再び呼び鈴が鳴った。


 インターフォンに出るまでもなくドアが開いた。そこには、悟さんとクレアさんが立っていた。


「曉子さん、お母さん。ウチの母がお邪魔してすみません。先ほど僕の家まで曉子さんが来てくださったのに、驚かせてしまったようで本当に申し訳ありません」


 悟さんがそう謝ってくれたけど、お母さんはまだ納得しきれていなかった。


「あなたたちが本当の親子かなんて、口裏を合わせればどうとでも言えるでしょう? それから、この免許証だって……」


「あー、りおんちゃんママ、この人は本当に尾上のお母さんですよ」


「あなたは誰?」


 お母さんは、初めての登場人物が多くて混乱しているみたいだ。


「あ、こちら、私の二つ目の職場の同僚で、クレアさん」


「源氏名だけどね(笑)。本名は姉小路雪子って言います。そして尾上はアタシの同中おなちゅうの同級生。尾上のお母さん、昔っから若くて、今もこんな若く見えるんだ」


「と、とても信じられないわ……」


「信じられないかもしれないけど、本当だよ。りおんちゃんのママ。りおんちゃんが勘違いするのも分からないではないけど」


 私は恥ずかしくなってきた。


 本当に後先考えずに、ちゃんと確認もしないで感情のままに動くとこういうことになるんだわ。


「でも、なんでこんな若者みたいな恰好を?」


「あ、これね、姉小路さんが着せてくれたのよ。勘違いした曉子さんにちょっと意地悪したくなっちゃってね。だいたい身体のサイズが一緒だからぴったりだったし(笑)」


「ひ、酷いですわ」

 

 悟さんが言葉を継いだ。


「うん、ごめんね。どうやったら信じてもらえるだろうかといろいろと考えたんだけど、姉小路がたまたま電話をしてきてくれて。誤解が解けると、その……嬉しいんだけどな」


 私は決まりが悪くなってお母さんの方を見た。

 

 お母さんも首をすくめて、バツが悪そうに見えた。


 でも、お母さんはすぐに毅然とした態度に戻って言った。


「この度は、私の行き過ぎた行動で娘を束縛して、尾上さんにも酷いことを言って……本当にごめんなさい」


 深々と頭を下げる自分の母親を見るのは、正直忍びない。

 いくらお母さんから酷い仕打ちを受けてきたとしても。


「曉子さんのお母様、お顔をあげてください。息子から全てのことを聞きました。お母様が曉子さんをお許しになった経緯は存じ上げませんが、私は悟の母親として、曉子さんと仲良くやってほしいと思っています」


「わたしは本当に、この子の青春を台無しにするところでした。この子と、私を救ってくれたのは……この子の父親なんです」


「えっ、吉永教授がですか? いつこちらにいらっしゃったのでしょうか?」


 悟さん、お父さんのことまで調べてくれていたのね……。


「あの、なかなかご理解いただけないかもしれませんが、その……夫は復縁を前提に、今この家に帰ってきています」


 お母さんがそう告白すると、狭い我が家の玄関で五人がひしめき合うちょっと不思議な空間は、驚きと安堵の空気に一瞬で包まれた。


「よかった! よかったじゃないか!」


 クレアさんが涙を流しながら叫んだ。


「本当によかったわ。ご復縁、おめでとうございます。曉子さんのお母様」


「ありがとうございます。そして先ほどの私たちの酷い言い方、申し訳ありませんでした」


 背の高い悟さんのお母様が、私のお母さんの肩を抱いて慰めてくださっているのを見て、私も感極まってしまった。

最後までご愛読ありがとうございます。

トラウマや狂気、そして悲しいすれ違い……いくつもの障害を乗り越え、ついに五人が玄関で笑い(泣き)合える日が来ました。クレアの服を着て暁子にちょっと意地悪しちゃう麻子さんのチャーミングさも、それにバツが悪そうにする佐知さんの人間らしさも、すべてが愛おしい回でしたね。

お父さんの頑張りも無事に実を結び、物語はとても幸せな節目を迎えました。

幸せいっぱいの二人をこれからも見守りたい!と思っていただけましたら、ぜひ下のボタンから【作品のフォロー(ブックマーク)】や【評価(★)】をいただけますと大変励みになります。一言ご感想も大歓迎です! 引き続き、よろしくお願いいたします。


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