5月10日 辞めます
思ったよりも衝撃的だった。まさか、髙橋がな。昨日、先輩たちの話に納得がいかなかった髙橋は、仕事に来ていなかった。辞めるのだろうか?俺は、同期がいなくなったこともあり、より肩身が狭い。しかし、先輩たちは全く気にしていないようで、いつもと変わらずに仕事をしていたのだった。この人たちは、高橋のことを何とも思ってないのだろうか?それとも思ってはいるけど、態度に出してないだけなのか?思わずため息が出てしまったのを先輩は見逃さなかった。
村上「大丈夫か?」
俺 「はい」
村上「5月になると、新人は特に疲れが出る頃だからな」
俺 「そうなんですね」
村上は、手を止め椅子を回転させて俺の方を向く。
村上「お前も気をつけろよ」
俺 「はい」
村上「そう言えば、お前は同期で誰が仲いいんだ?」
俺 「同期ですか?」
誰だろう。自分が誰と仲がいいとか考えたことがなかったな。
俺 「みんな同じくらいですかね?」
村上「そうなのか?」
俺 「はい。どうかしました?」
すぐには話し始めなかった。
村上「実は、お前たち同期の中で、誰かから連絡があって」
俺 「連絡ですか?」
村上「ああ。辞めますって」
俺 「えっ?誰かわからないんですか?」
村上「なんかイタズラなのかと思ったけど、社長にいきなり送ってくるなんてな」
頭の中に思い浮かんだのは、やっぱり髙橋だった。
俺 「髙橋じゃないんですか?」
村上「俺も最初はそう思ったけど、今市さんが絶対に違うって」
俺 「なんか根拠あるんですかね?」
村上「それは、わかんないね。だから、お前の方で心当たりあるなら聞きたくて」
心当たりなんて、あるわけがない。でも、髙橋じゃない理由ってなんだろう?
俺 「何したらいいかわかりますか?」
村上「とりあえず、まずは髙橋じゃないってことを証明したいから連絡とってくれないか?」
俺 「大丈夫ですよ」
村上「ありがとう。その時、探られないようにしたいから、ご飯でも行ってくれ」
俺 「わかりました」
なんか、とんでもないことになったな。髙橋は、一体今何をしているのだろうか?とりあえず、"元気か?"とだけ入力して送信ボタンを押したのだった。だれが社長に送ったのか?こうなりゃ、楽しみながら探すしかないな。俺は、昔に戻ったような気持ちだった。




