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事件も落ち着いたある日の夕食。
「アルノルト様、
明日の休日は何か予定がございますか?」
ヴィオラが夕飯に出ていたワインを
片手にアルノルトに聞く。
「いや、特にはない」
「それはよかったですわ」
「明日、昼間デートをしませんか?」
アルノルトはワインを吹きこぼしながら
目を見開いている。
「俺と?君が?」
「ええ。お嫌でしたら構いませんが」
ヴィオラは淡々と答える。
「いや!嫌なものか!何時にしよう?
朝は鍛錬があって日の出と共に起きているが?」
あまりのうれしそうな顔にヴィオラもほころぶ。
そして席を立ち上がり、
そっとアルノルトの顔にかかっているワインを拭う。
その手が、いつもより柔らかかった。
そっと耳元に身を寄せる。
ヴィオラの髪が、彼の頬をくすぐる。
「昼前がいいですわ。
だって今夜は、わたくしが貴方を
食べてしまう番なのですから」
アルノルトの息が止まった。
「子供をつくりましょう。
貴方とわたくしの、可愛い子を」
アルノルトはワインのように
全身を真っ赤にし、
ただコクコクと頷くことしかできなかった。
◆
その日の夜。
アルノルトはヴィオラの「二回目の主導」に、
完全に溺れていた。
彼女が自分から全てを与えてくれる。
そのことだけで、彼の理性は崩壊していた。
だが同時に、彼の愛の「重さ」が、
ヴィオラに圧し掛かってくる。
彼は彼女を完全に自分のものにしようとしていた。
失わないように。
手放さないように。
秘密ごと抱きしめるように。
その重さに、ヴィオラは何度も息を呑んだ。
(気づかれているのか)
その恐怖が、一瞬よぎった。
自分の秘密。
自分の仕事。
自分が何をしているのか。
だが、
アルノルトはそれでも彼女を求めていた。
知りながら。
あるいは察しながら。
それでも愛していた。
ヴィオラはそれに気づいた時、
初めて理解した。
これが、信頼なのだと。
相手を完全に知らなくても。
相手に秘密があっても。
それでも相手を愛し、相手から愛される——
(この人は、私を失わない)
その確信が、ヴィオラの全身を震わせた。
彼女は何度も名前を呼んだ。
アルノルト様。アルノルト様。
相手の声に、
相手の温もりに、
相手の重い愛に、
完全に溶ける自分。
これが、愛なのだ。
秘密を持ちながらも、
完全に信じられる人がいる。
その幸福と、その怖さに、
ヴィオラは何度も泣きながら震えていた。
さぁ、次からアルノルト視点に移ります。
『重い愛』ご堪能くださいませ (⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)




