アルノルト 7
第三騎士隊副隊長の屋敷。
人気のない裏路地。
アルノルトは十数名の部下を引き連れて、
暗闇の中に潜んでいた。
商人が来るはずだ。
証拠を持って。
ここ数日、自分が独自に集めた情報は、
すべてこの瞬間に繋がっていた。
王からは正式な指示も頂いた。
自分の勘と、自分の足で集めた証拠は、
嘘をつかない。
建物から人影が出た。副隊長と商人。
アルノルトは息を潜めた。
「例の品は」
副隊長の声が暗闇に響く。
「こちらに」
商人が革袋を差し出す。
その瞬間だった。
「王命だ」
アルノルトが低く告げた。
部下たちが一斉に飛び出す。
商人が絶望的に後ずさる。
副隊長は顔色を変えた。
(逃げるか)
副隊長の手が剣へ向かった瞬間、
アルノルトは動いた。
若い騎士へ斬りかかってくる刃を——
キィン!!
銀の刃が悲鳴を上げて閃いた。
副隊長の剣を弾き飛ばす。
一瞬だった。
「全員拘束しろ」
短い命令と同時に、騎士たちが動いた。
商人は抵抗する間もなく地面へ
押さえつけられる。
副隊長も同様だ。
アルノルトは革袋を拾い上げ、
中身を確認する。
帳簿だった。
武器の横流し。
グレイソン補佐官を脅していた証拠。
すべてがここにある。
「まさか......」
副隊長の絶望的な呟きが聞こえた。
アルノルトは何も答えず、
証拠を手に、部下たちに指示を飛ばし続けた。
「王命により、お前たちを拘束する。武器横流し及び国家反逆罪の容疑だ」
副隊長の顔から、血の気が引いた。
「証拠は、もうこの手の中にある、連れて行け!」




