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機械仕掛けの情報屋 〜異世界の大好きなお師匠様〜  作者: ビオラン
お師匠さまの情報を探しに

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思い出せますか

 

「先ほど話していたのはどこまでだっけ。ああそうだ。前回会った時の話をしていたんだったね。どうだい、隊長も参加したことだし、あの疑惑をもう一度聞いてみるのはいかがかな?」


 そうでした、そういえば私達は隊長の話をしていたのでした。

「でも……話をして大丈夫でしょうか」

「どうだろうね、それこそもう一度確認した方がいい気がしてきたな」

 レイバーが「聞いてみろ」と言いたげに隊長を指をさし、アイコンタクトを送ってきました。

 なんだか急かしてきます。

 私は少し、ムッとしてしまいましたが、ここは皆さんの前なので穏やかに代表して隊長に声をかけてみました。


「ドミニク様、あの、話を聞いているだけとおっしゃいましたが、少しお聞きしたいことがありまして……」


 すると、ドミニク隊長はキョトンとした顔を向けました。

「え、ええ。いいですがなんでしょう」


「実はですね、皆さん気になっているのですが、前回のことは覚えてらっしゃいますか?」

「おや、先ほど彼らにも聞かれましたが、私は覚えていますよ。最後にフィリー殿がここで密会をするなんて無茶なお願いをしたのを覚えているからこそ、今日のように集まれたわけですから」


 ドミニク隊長はニカッと歯を見せて笑いました。

 大変爽やかな笑みと、ハキハキとした話し方に、説得力があります。


「そうですよね。でも、ちょっと気になることがありまして……」


 そこまで言って、私は言いよどみました。

 なんだか緊張しているのか、上手く言葉が出てきません。


 周りに目線を送ると、ドミニク以外の全員が様子をじっと窺うように、でも、背中を押すように小さく頷いています。なんだか無言でも、「聞いてくれ」と声が聞こえてきそうです。

 レイバーに関しては背中を押しているというよりは、また急かしてきている気もしますが見なかったころにしましょう。


 私は、少し自分の息を整えると、こう続けました。

「竜の話の件は覚えてらっしゃいますか?」


 アレン達の話では、ドミニク隊長は覚えていない可能性があるとのこと。前回の私達の件もあったので、少し心配になります。


 私が少し真面目なトーンで質問したからでしょうか。ドミニク隊長は笑って流す様子もなく、真剣に腕を組んで、うーんと思い出そうとしてくれました。


 しかし……、しばらく経った後でやはり想定通りの答えが返ってきます。


「竜……の話ですか。いや、した覚えがないですね。」

「そう、ですか」


 やはりですか。


「さっきも彼らに聞かれたのですが、私はそんな記憶が無くて。架空の生き物である竜についてですよね? さて、うーん」


 隊長は一生懸命思い出そうとしてくれているようですが、手ごたえはなさそうです。

 やはり忘れてしまったのでしょうか。


「あの、ここにいる彼ら含め、私達はドミニク様がいる状態で、前回会った際に、竜の話をしたのです。これは本当です。ね?」


 私が周りに同意を求めると、皆口々に「はい」「そうです」などと声をそろえました。これだけ証人がいるのですから、さすがに信じてくれるでしょう。

「ほら、この通りです。でも、ドミニク様だけはどうしてか忘れてしまっているようなのです」

「なんだって! それは大変申し訳ない気がしてきたぞ。もうボケが始まったのか?いや、記憶力はそんなに悪くなかったのに……」


 少しショックがだったのか悩み始めたのか、こめかみのあたりをぐりぐりと押さえていました。


「うーん、何度思い出そうとしても思い出せないんだが……」

 と呟いたところでした。


 急にドミニク隊長が「うっ」とうなり声を発しました。

 そして、ゆっくりとですが身をかがめてしゃがみ始めます。


「どうなさいました?!」

 私が慌てて同じようにしゃがんで肩を支えると、隊長はこう続けました。


「い、痛い。頭が割れるように痛い……」

 隊長の顔色はみるみるうちに青ざめていきます。


「頭が痛いのですか?」

「ああ。うっ」

「以前もおっしゃってましたね。まだ続いていたのですか……」

「いや……あれからしばらくは……大丈夫だったんだが……まさかまた頭痛がくるとは……」


 隊長は苦しいのか、息を荒げて途切れ途切れに話ます。


「え、今までしばらく、頭痛は無かったのですか?」

「ああ……」


 それって、まさかこれは……


 私がレイバーに目線を送ると、レイバーも同じことを考えたのか小さく頷きました。


 ーー私達が竜の話をしたから? でしょうか?


「一旦、竜の話は止めましょう。まずは安静にして痛みを沈めましょう」


 隊長を岩に持たれかかるように座らせます。

 応急処置的に脈を図るなど行いました。


 ただ、しばらく時間が経つと少し、痛みが落ち着いたのか、隊長の顔色が戻ってきました。

「もしかして、痛みは引きましたか?」

「ええ、先ほどの痛みが嘘のように引きました。ありがとうございます。」

「あら、安心いたしました。でも持病をお持ちではなさそうでしたよね?何故でしょう」


 ここまで言ったとことで、私はハッと明暗を思いついてしまいます。


 ただ、大変申し上げにくいのですが、とても酷い案を思いついてしまい、一瞬だけ迷ってしまいました。


 隊長に聞こえないようレイバーにこっそりと相談しにお声掛けしてみます。すると、全く同じことを考えていたようで、「ああ、僕ならそうするよ」といともあっさりと帰ってきました。

 なんて極悪非道なんでしょう。と思いましたが、同じことを考えた自分も仲間であることに気付いてしまいました。


 仕方ありません。気乗りしないと思っているはずですが、口からは躊躇なくことばが出てきました。



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