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「バットエンド」  作者: ここはだれ?
4回目の——またね。
8/12

第6話「4回目の——またね。」

ピ……ピ……ッ…ピッ……ピッ——ピッ——

心電音のようなだけが耳に残る。

(僕の目覚ましってこんな音だったっけ?)

僕は目を開ける。



「——?どこだ…ここ…」

自分がいたのは…病室だった。

「いや…自分の部屋で寝てた筈…」

あぁ——そうか。これは夢なのか。

「だって僕は…明日の入隊式の準備をして…」

それから?

「家を出て…それから電車に…」

思わず言葉が詰まる。

「…乗ろう…と…」

そうだ。僕は家を出た…筈。

本当に?

——いや、それが夢だったのか?

「僕の頭がおかしいのか?」

僕は自分の頭に手をやる。

「布…?包帯?」

僕の頭には包帯が巻かれていた。

(怪我?いや…そんな記憶は…)

その時…僕の頭に、電車に轢かれる瞬間がくっきりと写った。

「…!僕は…電車に…轢かれて…!?」

いや…僕の体はそんなに重体では無いようだ。

体を見回して見ても、包帯はさほど巻かれては無い。

「じゃあ、あれは…?」

その時、僕の思考はそこで止まった。

(どこからが…夢なんだ…?)

分からず混乱していた、その時——

「おっと…目覚めたようだね。」

扉の方を振り返ると…白衣を着た男の医者が立っていた。

胸には…緑の…対策職員のバッチ。

「対策職員って事は…ここは…」

彼は安心したように頷く。

「よかった。そこら辺の記憶はちゃんとあるみたいだね。でも、一応説明はしておこう。ここは君の言う通り…病院じゃない。研究部門の治療施設だよ。まぁ…病院とさほど変わらないけど。」

でも…研究部門の治療施設って…

「…僕は別に腐神に巻き込まれてはいませんが…」

僕がそう言うと、彼は深刻そうな顔をした。

「…覚えている事を教えてくれるかい?」

僕は、自分の名前、年齢、住所を答えた。

彼はカルテを見ながら答えた。

「ふむ…自分に関する記憶は、ちゃんとしてるみたいだね。」

彼は安心したように頷く。

「…何で腐神に巻き込まれた記憶が無いんですか?」

僕がそう聞くと、彼は難しい顔をした。

「君の記憶が…書き換えられたんだ。…外側の膜……「スファエラ」を通り抜けたことでね」


「…じゃあ、…他の記憶も…」


「…記憶の改ざんは……腐神の中にいた時間が長いほど、進行する。」

彼は言葉を選ぶように続けた。

「記憶だけじゃない。性格や認識まで変わる場合もある」

一瞬、視線が逸れる。

「……完全に別人になるまで、平均で三ヶ月前後と言われている」


「じゃあ…僕は大体どれくらいの間…いたんですか?」

僕は答えが怖くなって、唾を呑んだ。

彼は少し視線を落とす。


「大体…2週間だね。」

…え?

「つ、つまり…2週間…飲まず食わずで…?」


「飲まず食わず?」


「はい。ご飯は食べてないと思います……どうしたんですか?」

「それが……本当だったら…まずいぞ…」

彼は焦ったように言う。

「ど、どうしたんですか?」

彼の視線が一瞬だけ逸れる。


「結論から言おう…君は、…汚染区域に入ったんだ。」


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