第2話「長い長い夢の始まり」
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僕は、駅で次の電車を待っていた。ラッシュアワーというのもあり、駅は酷く混み合っている。
ここから中央本部まで大体20分程度だし、余裕を持って到着できる。
僕は手に持っていた携帯から視線を逸らし、外の方を見る。
今は2月だと言うのに、しんしんと雪が降っている。
まぁ、別に大雪と言う程でも無く、積もらな…ん?
明らかにさっきの倍は降っている。
「急に強くなったな?」
僕は駅メロが鳴っているのを無視し、好奇心で駅のホームの屋根が無い場所まで移動した。
携帯に落ちて、光が透けている雪を見つめる。
「やっぱり、雪は綺麗だね…?これは…」
僕は携帯の上にある物をさらに見つめた。
よく見ると、何やら細かい粉のような物もあるようだ。
所々、雪に混じってぬめりがある。
「まるで灰みたいな———!」
ヴーーーーーーーーッ!!!
僕が「それ」に気づくと同時に、自分が持っていた携帯の画面が変わり、駅にいる全ての人の携帯から、一斉に金属を引っ掻いたような警報が鳴る。
僕は口と鼻を服の裾で抑えると、踵を返して走り出した。
〈——腐神が、発生します。外殻域に巻き込まれてしまった場合、カーテンを閉め、コルプトに見つからないように隠れ、JCIの職員の指示に従ってください。また、内殻域に巻き込まれた場合、自分の命を———〉
(この駅にはシェルターがあったはず!)
原理不明災害_『腐神』
『降灰』 ステージ1
被災地の降灰を確認。
「あっ!」
焦っていたからか、駅のタイルにつまずいてバランスを崩すと、僕はそのまま線路へ落ちてしまった。
「いった…は、早く逃げないと…」
ファーン!!
眩しい光が目の前を照らす。
「ま、まず…!」
僕は恐怖で目を閉じた。
ガタンゴトン!!
どんどんレール音が大きくなっていく。
レールの振動が、体中の骨まで響く。
(こ…こんな所で…)
急に全ての音が消えた。
(死…死んだ?)
恐る恐る目を開けてみる。
「ここは…電車?」
僕はいつの間にか車両の通路の真ん中に座っていた。窓から入った光が舞っている埃を照らしている。座席は劣化でひびが入っていて、その隙間から植物が生えていて、それが手すりに絡みついている。
先の方に目をやると…合わせ鏡をしたみたいに無限に続いているのがわかった。
何よりも不気味だったのは、壁も、床も、天井も、座席も、植物すらも真っ白な事だった。
僕は重い腰を上げる。
『異変』 ステージ2
半円球状のフィールドの出現を確認。
職員は現場で待機。
「これが…腐神…」
……の、内殻域。……今1番来たくなかった場所だ。
口の中が乾いていた。
普通なら、もっと混乱するはずだ。
逃げ出してもおかしくない。
なのに——
…懐かしい気がする。
……何処か、見覚えがある。
「へぇ、知ってるのか」
声のした方を振り返ると、妙に落ち着いている少女が座席に座っていた。
身長から見るに、どうやら中学1年生くらいと言った所だろうか。
「まぁ、学校で習ったからね」
僕がそう言うと、彼女は少し考え込んだ。
「?…あぁそうか、そうだったな。なら、ここが普通ではないことはわかるだろ?」
彼女は軽く顎で前方を示した。
「まぁ…ね」
僕は先の方に目をやる。
「でも…ここにいても何も変わらない」
「——君」
彼女の声が低くなる。
「まさか…端まで行くなんて言わないだろ?」
彼女は先の方を指差す。
「君にはこの先に終わりがあると言いたいのか?」
「違うの?」
「まぁ、終わりはないかもしれないが…出口はあるかもな。」
一瞬、間が開く。
「だがもし、出口が外にあったらどうする?」
彼女は脅すように低い声で言う。
「外にある灰、見ただろ?吸い続ければ死ぬ。」
彼女は静かに言い切る。
「10分もいらないだろう」
「それじゃあ、僕はどうすれば?」
「ここにいる限り、君は死ぬことは無い。時間に余裕はある」
彼女は自分の隣の空いている席をポンポンと叩く。
「まぁ…座ってくれ。少し話しをしよう」




