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【書籍1巻発売中】モブの俺が悪役令嬢を拾ったんだが〜ゲーム本編無視で、好き勝手楽しみます〜(旧サブタイトル:ゲーム本編とか知らないし、好き勝手やります)  作者: キー太郎
第六章 新年度は出会いがいっぱい

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本日休載のおしらせ+おまけ

「俺は今、非常に傷ついている」


 盛大に顔を顰めたランディから、リズとエリーが申し訳なさそうに顔をそらした。


 バルク、ガルド両教官に捕まり、事情聴取という名のほぼ説教を受けたランディが、頬を膨らませながら帰ってきたのがつい先程。そして迎え入れてくれたリズとエリーに向かって、冒頭の言葉を口にしたのだ。


「すみません。なんかあの場のノリで……」

「ああするのが正解のような気がしてのう」


 苦笑いで、それぞれ別の頬を掻く二人は、まるで双子のようだ。そして二人がそれだけランディと気安い関係を築けている事実は、ランディにとって喜ばしいことであるのだが……。気安い関係だからこそ、この感情をぶつけねば、とランディがまた口を開いた。


「俺は今、非常に――」

「本当にすみません」

「悪かった」


 上目遣いで瞳を潤ませる二人に、ランディが「うっ」と声をもらしてのけぞった。実際のところ、教官達の説教などアランに比べれば大したことはなかった。それどころかランディは、リズやエリーを巻き込まなかっただけ、良かったとさえ思っていた。


 ちょっと冗談のつもりが、この真っ直ぐな謝意だ。ランディは少しやりすぎたかな、と申し訳なさすら感じ始めている。


「すみません」

「この通りじゃ」


 真っ直ぐな二人の瞳。それをしばし見ていたランディが、「ふー」と大きく息を吐き出した。


「……いいよ。そもそも言い出しっぺは俺だしな」


 口を尖らせるランディだが、今回の限界調査に絞って言えば、正確にはエマが言い出しっぺである。それでもゴーサインを出したのはやはりランディだろう。


 少し気になることはあるランディだが、ああも真っ直ぐ謝られては、これ以上は怒れない、


「とにかく飯を食おうぜ」


 ため息混じりのランディが、リビングへ足を向けた。


 ランディが背を向けたその時、エリーがニヤリと笑い、リズに囁いた。

「上手く行ったじゃろう」

「でも、良かったんですか?」

 こちらも声を落としたリズに、エリーが「構わん」とまた広角を上げる。


「涙は女の武器じゃ……とシャルが言うておったからのう」


 小さな声で「フッフッフ」と笑うエリーに、リズが「確かに、びっくりするくらい効きましたけど」と今にもリビングの扉を開きそうなランディの背を見つめた。


 何ということはない。先程の謝罪は、言葉こそ本当だが、あの上目遣いと瞳を潤ませた仕草はエリーによる悪知恵だ。恐らく怒っているだろうから、こうしたら許してもらえるのでは、という。


 もちろんエリーにも確信があったわけではないが、はるか昔にシャルロッテから聞いていた方法を試したというわけだ。


「惚れてる女の涙に、男は弱いものじゃ」

「……惚れてる……。それエリーも惚れられてる、って事ですけど?」

「…………」


 顔を赤らめ黙り込んでしまう二人だが、思わぬ自爆のせいで気がついていない。二人の背後に気配を消したランディが笑顔で立っている事に。


「ンなこったろーと思ったぜ」


 背後から響いたランディの声に、エリーとリズがビクリと肩を震わせ、跳ねるように振り返った。


 そこには妙に圧を感じる笑顔のランディが腕を組んで立っている。


「な、何の事じゃ?」

「さっきの。上目遣いと涙目」


 ランディの言葉に、エリーが「そ、そそそそれが?」と声を上ずらせた。


「芝居だろ? あの下手な上目遣いと涙目はよ」


 ニヤリと笑うランディに「バレてますよ、エリー!」「なぜバレたし」と二人がアタフタとする。


「らしくねー行動くらい、一発で分かるわ。俺がどんだけお前らの事を見てきたと思ってんだ?」


 怒られているはずなのに、どこか愛の告白にも聞こえる文言に、エリーとリズの二人が顔を赤らめる。


「あんなキャサリン嬢がやりそうな露骨な謝罪……。あれで俺を騙せるとでも思ってんのか?」


 指をポキポキと無らしながら近づくランディに、「ま、待つのじゃ」とエリーが声を上ずらせた。


「これには深い理由が――」

「お仕置きのあとで聞いてやる」


 指をワキワキとするランディが、「ヴィクトールくすぐり術――」とエリーの脇腹へ指を優しく這わせる。


 まるで別の生き物のように高速で動くランディの指に、「アッハッハハハ」と、ありえないほどの笑い声をエリーが上げる事しばらく……


「ハァ……ハァ……」


 笑いすぎて、腰が抜けたようにその場にエリーがへたり込んでしまった。


「思い知ったか」


 カッカッカと笑うランディだが、その顔が勢いよくリズを振り向いた。


「ちょ、ランディ? 私は――」

「安心しろ。俺はお前らを平等に扱うと決めてるからな」


 再び両手の指をワキワキと動かすランディが、リズへ一歩近づき、「ヒッ」と悲鳴をもらしたリズの脇腹を、ランディの指が高速で撫で回す。


「フッフッフ……アハハハ――」


 堪えきれぬ笑い声は、およそ侯爵令嬢とは思えぬ豪快なものへと変貌し、小さなロビーに響き渡った。


 そうしてリズも見事に腰を抜かし、ロビーにへなへなと座り込んだ。


「これにて一件落着」


 高らかに笑い声を上げるランディと、腰を抜かした荒い息を漏らす二人。その様子を……


「何してんすかね」

「でも、今日も楽しそうです」


 ……わずかに開いた扉の隙間から、ハリスンとリタが覗いていた。

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モブの俺が悪役令嬢を拾ったんだが ~ゲーム本編無視で、好き勝手楽しみます~

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モブの俺が悪役令嬢を拾ったんだが ~ゲーム本編無視で、好き勝手楽しみます~

カドカワBOOKS

― 新着の感想 ―
くすぐりプレイなんて高度なフェチを……いいぞもっとやれ!靴を脱がせて足裏もだ!!
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