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【書籍1巻発売中】モブの俺が悪役令嬢を拾ったんだが〜ゲーム本編無視で、好き勝手楽しみます〜(旧サブタイトル:ゲーム本編とか知らないし、好き勝手やります)  作者: キー太郎
第六章 新年度は出会いがいっぱい

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本日休載のおしらせ+おまけ

 時はしばし戻り、ランディが魔道具研究会へ顔を出す事になった日の朝。コリーとアナベルは学院前庭に設けられた、生徒会選挙告知の看板を眺めていた。


「本当だ……ランドルフ先輩、生徒会長に立候補してる」

「う、うん……」


 ランディが立候補を決めた時も、一緒にいなかった二人は、キャサリンからその話を聞いて、こうして看板を確認しに来たのだ。


 ランディの退学だ何だを知らない二人からしたら、ランディの立候補は驚きの行動なのだが……それ以上に驚いているのは、コリー達同様立て看板の前に集まっている生徒達だ。


「ランドルフってあの三年の?」

「なんでまた?」


 至るところから聞こえる疑問の声に、アナベルもコリーも思わず頷いてしまう。そのくらいランディと生徒会長という立場がマッチする事はない。


 だから今も何かの間違いでは、と二人してボンヤリとランディの名前を見つめ続けるのだが……


「落ちこぼれが立候補してもね――」


「お、落ちこぼれなんかじゃありません!」


 ……不意に聞こえてきた声に、アナベルが思わず声を上げてしまった。一斉に注がれる視線に、アナベルが「え、と」と視線を下げ、言葉を詰まらせる。


 そんなアナベルを庇うように、コリーが「そんな人じゃありませんよ」と静かだが力強い声で野次馬に語りかけた。


「ランドルフ先輩は、皆さんが思ってるような人じゃありませんよ」


 もう一度繰り返したコリーが話すのは、ランディという男の人となりだ。


 学院での成績こそ振るわないが、それは単にやる気がないだけで、鋭い洞察力と冷静な判断力を持った頼れる男だという事。

 美容液事業を始め、カメラや馬車、そして香油といったブラウベルグが独占している事業の多くに、ランディが関わっているという事実。

 さらに噂通りSランク冒険者すら、赤子のように扱う実力を持っている事。

 それだけの男であるのに、決してそれをひけらかさず、誠意には必ず誠意を返す義理堅い男だという事。


「とにかく、学院の様子だけで測れるような人じゃありません」


 言い切ったコリーが、「だよね?」とアナベルに微笑みかけ、アナベルがそれに大きく頷いた。


「学院じゃ難しいかもしれませんけど、一度先輩が本気で何かをしてる姿を見ると、評価がガラッと変わると思います」


 コリーが思い出すのは、七不思議から始まったカメラ作りと、あとはヴィクトールの収穫祭だ。絡みこそ他の仲間たちと比べると少ないが、それでもランディの凄さを体感するには十分過ぎる経験であった。


「全部は知らないけど、強いのはホントだよ!」


 急に野次馬の中から手を上げたのは、コリー達が知らない女生徒だ。その生徒が語るのは、二年三学期にあったダンジョン研修でのランディの活躍だ。


「あの時、本当にランドルフ君がいなかったら危なかったからね」


 その言葉に、何人かが賛同の声を上げた。どうやら彼女以外にも、ダンジョン研修に参加していた生徒がいたようだ。


 コリーや研修参加組があまりにも自信たっぷりに言い切るものだから、集まっていた野次馬たちも「へ、へえ。そうなんだ」と先程までの自分達の態度を恥じるように、視線を逸らした。


「ただ、夢中になると周りが見えなくなる所もありますけど」


 コリーの言葉に、アナベルも研修組もウンウンと頷いた。


「だから僕は、先輩が会長になったら学院はもっと楽しくなる気が――」


『ぶえーーーっくしょい!!』


 学舎の向こうから響いた特大のクシャミに、その場の全員が音のした方を振り返った。


「……先輩、かな?」

「た、たぶん」


 顔を見合わせ微笑む二人と同じように、その場にいた全員も「何の音?」と思わず笑みをもらす。


 先程までと違う空気になった前庭を、柔らかな朝の光が包みこんでいた。



 ☆☆☆


「急にデカいクシャミを出すなと言っておるじゃろう!」

「もう、ビックリするじゃないですか!」


 両サイドから服を引っ張られるランディが、「誰かが噂してんだよ」と鼻をすする。


「馬鹿で阿呆じゃ、とな!」

「今回はエリーに同意です! とっても同意です!」


「なんでだよ!」


 ワイワイと賑やかな三人が、学舎の中へと消えていく――その後姿を、遠巻きに生徒達が見ていた。


「チッ、イチャつきやがって」

「くそ。毎日イチャイチャと」

「……でも、羨ましいよな」


 コリー達の布教活動とは別ベクトルで、ランディは意図せず今日もその存在感を、良くも悪くも示していた。

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モブの俺が悪役令嬢を拾ったんだが ~ゲーム本編無視で、好き勝手楽しみます~

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