第八話
ロックウルフがダンジョンで吸収される前に、空間収納にいれこむ。歩くペースも相変わらず、急がす焦らずの近所を散歩するように進んで行く。30m程度進んだ先は少し広い空間だった。普通なら休憩スポットとしてベースキャンプをするにはもってこいの場所かもしれない。
自分の魔力念糸に反応があった場所は天井の鍾乳石。見た目は鍾乳石なのだが、やたら尖っている。鍾乳石に擬態している魔物は、ロックバット。自分の真下にきた獲物を尖った尻尾の一撃、クリティカルで獲物を仕留める魔物である。元々はコウモリ系の魔物のため倒す分には難易度はかなり低い。魔力念糸を展開しているため、擬態している二匹のロックバットを天井から引っこ抜く。
まさか天井から引っこ抜かれると思っていなかった魔物はあっという間に魔力念糸により首を絞められる。尖った尾と魔石以外は必要ないので、即座に解体。戦闘らしいことはやはり起きない。そんな感じで何事もなく、35層のBossエリア前に到達。
Bossエリアに突入する前に必ずやることがある。体の損傷具合の確認、装備品の確認、疲労度や空腹の確認である。そして空間収納から椅子とテーブルを取り出す。今からBossエリアの前でお茶会を行うのだ。
冒険者の基本生活は依頼を受けてクエスト攻略をしてお金を得る。命を賭けて、魔獣や魔物を狩って生計を立てていく。間違いじゃない。むしろその通り。ただずっと気を張ってビクビクしながらダンジョンにいるのに疲れた。自分にとってダンジョンクエストの一番の楽しみがお茶会なのだ。
テーブルの上にはティーセットが2セット。ケーキスタンドにスイーツ店で買った、高級マカロン、白桃のショートケーキ、ベリーのタルトの3点を置く。今日は南部の紅茶の気分かな。
「ソエルちゃんいる?」
誰もいないBossエリアの前で自分の声だけが響く・・・
「う~ん、どうしたの?」
近くにいる気配はあるが姿は見えない
「どこにいるの?」
「あなたのフードの中よ」
この前はズボンのポケットの中に居たのに・・・今日はフードの中かい。フードの中には確かに小さな人型の精霊が入っている感じがする。
「いまからおやつ食べるけど?」
「食べる食べる」
フードから目をこすりながら、小さな精霊はテーブルの上に座る。今からBossエリアの前でアフタヌーンティーを二人で楽しむのだ。
こんにちは。あと二話?三話?くらいでBoss戦ではないかなと思っています。
説明が長く申し訳ないですが、もう少しすると会話中心の読みやすい小説になるでしょう。
北海道は夏休みがすでに終わっており、各地でお祭りが盛んに行われていますが、コロナが徐々に増えています。皆様の体に気をつけてご自愛ください。