第七十四話
蜜月のローレライ
「副ギルド長ローレライ・エルフィンは、スノウ様の直接依頼により彼を保護します。異論は認めぬ」
冒険者ギルドの広場で皆に宣言し、その場から消えて数日が経った。
チーフに後始末を押しつけてしまった結果、毎日ギルドからバード(魔法伝書鳩)が飛んでくる。
現在は南国の観光地、海沿いの別荘(プライベートビーチ付き)で優雅なひとときを過ごしている。
マイロードであるスノウ・ノクティスより守って欲しいと。
自分にとって愛する人から頼られた。ローレライは生きている中でいま一番の幸せを噛みしめている。
全てのものから守る。
それは神、龍と敵対しても構わない。
自分の全てをかけて彼が目覚めるまで守る。ローレライの決意は堅かった。
ただいつも彼の隣りにいる精霊ソエルが居ないことが気がかりである。
彼の隣りにいつも居て、正妻で守護者と公言している精霊。
自分は2番目でも3番目でも構わない。一夫多妻、一妻多夫はこの世界では問題ない。
実力、経済力があり、愛する者を養える力があれば嫉妬や批判は捻じ伏せれば良い。
冒険者の野望の1つ、ハーレムは昔も今も変わらないのだ。
話がそれてしまったが、精霊ソエルがいないということは彼女自身に何かが起こったと考えられる。
正直に言うと彼を独り占めしたい・・・ただ全てのものから守るのであれば自分1人より2人の方がより安全なのだ。
別荘にはハウスキーパー以外は近寄らせないようにしている。外と中の結界も万全。
もし何かに襲われても彼のいるベッドごと空間転移で別の場所に飛べるように準備は済ませている。
隣りにいる彼の寝顔に触れながら、早く目覚めて欲しいと願う。
いま自分の姿は褐色の肌を持つダークエルフではない。素の姿であるエルダーエルフに戻している。彼が目覚めた時に一番綺麗な自分を見て欲しいと思うから。
ハウスキーパーが持ってきてくれた朝食を食べながら、雑誌月刊冒険者ギルドの臨時版を見て唖然としてしまう。
ノクティスの冒険者ギルドの副ギルド長がご乱心?純愛?で荷物運びと逃避行したと大々的に書かれてある。
自分と彼の写真も載せてある。もう少し右から撮ってくれたら完璧。
そこじゃない。
独りでツッコミをしながら、写真が載っていることも不味いが、問題は自分の本名と彼の名前が載せてあることだ。
雑誌月刊冒険者ギルドは大陸全土で発刊されている。
エルダーエルフ、エルフィンの名前が世に出てしまった。見る人が見れば自分の正体がばれてしまう。
雑誌の影響力は計り知れない。迂闊な発言だった。
この記事を書いた記者にも今後注意が必要だ。場合によっては雑誌月刊冒険者ギルドの出禁も考えなければならない。
彼との幸せな蜜月の時間はきっと短くなるだろう。
ローレライの危惧はこの数日後に当たることになる。
皆さんこんばんは。お正月はご健勝に過ごせたでしょうか?
神社にお参りに行ってきましたが、おみくじは予想通りの吉でした。
吉が大吉に変化できるように、少しずつ階段を登るように小説が知られるように頑張っていきます。




