第74話 命を預ける
オブシディアン=女の子という構図が出来てしまいそうだが、これはありかもしれない。
謎のAランク冒険者オブシディアンは、実は女の子。
無言の鎧と呼ばれていた理由は、喋ると正体がバレるから。
これで冒険者ギルドに送られてくるお見合いのプロフィールカードも劇的に減るだろう。
毎回ローレライが見る前に燃やしていると聞いているが、今度は男から来る可能性があるのか?
アイシャのお仕置きとして採用しよう。
『スノウ……聞こえる?』
久しぶりの神さまだ。
どうしたのか聞いてみる。
『魔力が足りなくて、やっと会話ができるまでに回復した。端的に話すと、魔石を体に入れたあなたは、この後しばらく休眠期間に入る。ソエルのようにしばらく動けなくなるから』
「えっ?どのくらいの期間?」
つい声に出してしまう。
声に出した言葉の意味がよくわからないため、ローレライは不思議そうな顔で見ている。
『最長5~7日間くらいだと思う。雷龍王の所はやめて。もし敵と見なされたら私もあなたも死ぬことになる』
休眠期間は意識がなくなり、何も出来ない無防備の状態になる。
食事・衛生・排泄等で支障がでる。
二日間くらいなら何とかなるが、さすがに5~7日間は無理だ。
雷龍王(義母)に保護して貰う選択肢も考えたが、過去に神と義母に何かあった感じがするから頼めない。
それに無防備で死にたくない。
『悪いことに、もう少ししたら休眠期間に入る』
まずいまずい。
この場所で休眠状態になったら非常にまずい。
あまりにも急すぎて対応が出来ない。
半泣きになりそうで困った状態で悩んでいると。
ローレライが心配そうな顔でのぞき込んで来る。
「何か困りごとですか?あまり見ない顔をされているので」
自分は弱った所を極力見せたくない。
弱った自分を見せたら幻滅されるかもしれない。
弱い自分を受け入れて貰えなかったらと思うと怖いからだ。
時間がない現状で、どうしようもできないことはもう頼るしかない。
ローレライはパートナーだ。
もし断られたら、それまでの運命だろう。
ローレライを見つめながら静かに話しかける。
「スノウ・ノクティスとしてお願いが。しばらく休眠期間に入るみたいで……その間、自分を守って欲しい」
感覚としては好きです、付き合ってくださいと似ているかもしれない。
自分は無防備になるから全てを任せます。
生殺与奪はローレライに、命を預けますと解釈してもらって構わない。
ローレライは満面の笑みで微笑む。
耳元に優しい声が聞こえる。
「イエス・マイロード。貴方の思うままに、全てのものから貴方を守りましょう」
子守歌のような優しい声だった。
直後、自分の意識はブラックアウトした。
74話です。
皆さんこんばんは。明日投稿出来たらやります。土日は頑張って、書き溜めします。
毎回楽しんで頂けるように頑張ります。よろしくお願いします。




