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第70話 ポーターの反撃

アイシャにはオブシディアンの予備の全身鎧の中に隠れて貰った。

皇帝クラスのクイーンアントの戦いで、いつも装備している全身鎧は腐食と毒の攻撃を受け、使用不可になっている。

予備の全身鎧は試作品のため、見た目が同じでも戦闘が出来るほどの動きは出来ない。

最低限の動きが出来る程度の鎧だ。

アイシャは魔力制御が上手い。

数分で予備の鎧を動かせるようになっている。


(面倒なことになった)


アイシャのペースに巻き込まれている。

この場にずっと居ても解決はしない。

覚悟を決めて貴重な転移石を使う。

一瞬で冒険者ギルドに帰還した。

25層のセーフティゾーンから地上の冒険者ギルドに一気に戻って来た形だ。

冒険者ギルド内は、午前中の喧騒と違う異様な雰囲気が漂っている。

ざっと見て、60人規模の冒険者と魔女が集められている。

セーフティゾーンの酒場で聞いた通り、救出クエストはレイドクエスト並みの人数を集めたようだ。

魔女の現代表が各パーティのリーダーと打ち合わせをしているようだが、隣にいるバトルアクスを背負った全身鎧の戦士はギルドでは見たことがない。

凄腕の傭兵なのか?

魔王と似たような異様な圧、強者の匂いがする。

あのバトルアクスはどこかで見たような気がする……。

数分もしないうちにローレライ嬢(副ギルド長)に見つかり抱きつかれてしまう。


「スノウ様、どうしてこんな姿に?お怪我は?」


髪の色は白くなり、見た目もボロボロ。

心配しないほうが、無理だろう。

だが場所が場所だけに、副ギルド長に抱きつかれるとかなり目立つ。

集まっている冒険者たちの視線が一斉にこっちに集まる。

殺気を含んだ嫉妬の視線を多く感じる。

直後、後ろにいたオブシディアンの左手で小突かれてしまう。

何で??


「大丈夫だから。とりあえずこの現状を説明してくれ」


はっと気付いて、ローレライは現状を簡単に説明してくれる。

魔女の要人が36層までは仲間と一緒に居て無事だったこと。

仲間を脱出スクロールで強制帰還させた後は生死不明。

緊急救出クエストはすでに発動しており、偵察を兼ねた先行部隊のパーティはすでに出発している。


こっちに気が付いた魔女の現代表とバトルアクスの戦士が近付いてくる。


「クエストから帰って来たばかりみたいで悪いんだが、Aランクのオブシディアンとポーターのあんたには救出クエストに参加して欲しい」


ポーターという職業柄、どうしても冒険者よりも下という扱いを受けてしまう。

上から目線の高圧的な態度には慣れているが、心身共に疲れているせいかポーカーフェイスが出来ずにイライラした顔が出たようだ。


「何だいその顔は?オブシディアンお抱えのポーターって話だから、あんたも一緒に誘ってあげているのに。嫌ならオブシディアンだけでもどうだい?報酬ははずむよ」


オブシディアンの中にいるアイシャが動かすよりも先に、魔力念糸で拒否のポーズをする。


「討伐クエストしか受けないあんたにゃ、救出クエストは無理かい?討伐と違って繊細なクエストは合わなそうだしね」


魔女の現代表としてプライドが高いせいもあるためか、言葉がきつい。

嫌みしか言わない失礼な婆さんだ。

オブシディアンが拒否したため、クエスト参加は無理と判断してきびすを返していく。

穏便に済ます予定だったが、喧嘩を売られてしまったので買いましょう。


「副ギルド長、ギルドの広場を借りてもいいいか?ついでに広場の人払いを」


自分のイライラしている顔を見て何かを察したのか、すぐに手配をしてくれる。

きびすを返している魔女の現代表とバトルアクスの戦士に向かって声をかける。


「魔女の現代表か知らんけど、礼儀を知らないもうろく婆さんに面白いものを見せてやるよ」


ポーターが魔女の現代表に喧嘩を売った。

正確には喧嘩を買ったのだが。

レイドクエストで集められている冒険者たちにもピリッとした空気感が伝わる。

隣のオブシディアン(アイシャ)が笑いを堪えて吹き出しそうな姿をしている。

頼むから声は出すなよ。


「はぁ?ポーター風情が私を止めて意見するなんて、100年早い」


言葉に怒気が混じる。

短気な婆さんだ。

こちらの煽りに乗ってくれてありがとう。

ただ周りの魔女たちが先に動いた。

護衛の魔女たちだろう。

魔女の三人が無礼なポーターを潰しにきたわけだ。

近付こうとした魔女の三人は、魔力念糸で動きを止められ、一瞬でそのまま床に叩きつけられた。


「もう一回だけ言う。面白いもの見せてやるから広場に来い」


オブシディアンの金魚の糞と揶揄されるポーター。

そのポーターから、あり得ない威圧感が放たれている。

床と仲良くなっている魔女の三人は、その威圧感に当てられ泡を吐いて失神。

現代表の横にいる戦士は、背中のバトルアクスに手をかけた。


70話です。

皆さんおはようございます。やっと70話まで来ました。

リライト前が、100話超えているので時間がかかってます。

読んで楽しんで貰える作品を目指して。これからもよろしくお願いします。

次回は明日、月曜日予定です。

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