第68話 おそろいのピアス
錬金術の目処がたった時点で今回のクエストは大成功。
ソエルが横に居たら、単純な男と言われそうだ。
残りのピアスと指輪の価値が高ければ最高だ。
「このピアスと指輪の性能はかなり良いですね。市場に出れば一軒家が買えるくらいの価値はありますよ」
鑑定スキル持ちの魔女のお墨付きを得ているピアスと指輪の性能はいかがなものか。
「ピアスは状態異常の軽減と魔力の持続回復(小)が付いてますね。指輪にはランダムな幸運、着用者には1日1回の幸運が訪れるみたいです」
「今回の宝箱は当たりだ」
ダンジョンの宝箱はランダムのため、何が出るのか開けるまでわからない。
たまによくわからないセクシーな下着とか入っているのは、ダンジョンのイタズラと思っている。
「このピアスと指輪はどうしようか」
アイシャの顔を見ると物欲しそうな顔をしている。
ソエルには魔王の魔石をあげた。
アイシャには魔王戦や魔力制御の手伝いもして貰っている。
ご褒美があっても問題ないだろう。
「どっちか欲しい?」
アイシャに聞くと、少し恥ずかしそうな顔をしている。
「顔に出てましたか?」
照れくさそうな顔をしている。
この笑顔を見られる男性は、きっと毎日が幸せだろう。
「色々手伝ってくれたらね。今度錬金術を教えてくれる前払いと思ってくれてもいいから」
ピアスと指輪を見せて選んでもらう。
「魔王との戦いでは途中で動けなくなってしまって。状態異常があれほど辛いとは思っていなかったです」
蟻の魔王は、無臭の透明な毒の攻撃をしてきた。
あの状態異常の攻撃は初見では防ぎようがないと思う。
「もし良ければ、状態異常の軽減のピアスを貰ってもいいですか?」
首を縦に振る。
「スノウさんは魔力の持続回復のピアスを着けた方がいいですね」
ドールマスターは魔力消費が激しい。
魔力が無いと一般人よりも少し強い程度。
魔力が無い状態でも戦えるように日々訓練して身体を鍛えているが、魔王戦は反省しかない。
魔王の一撃で死にかけた自分の耐久性が悲しい。
「魔力量を上げるか、無駄がないように魔力の消費を抑えるか。このピアスは自分が着けるかな」
ただ自分はピアスを着けたことがない。
ピアスの穴がないのだ。
「ピアスを着けるのは初めてですか?」
質問に、コクコクと頷く。
「ファーストピアスは穴が塞がりやすいので、しばらく着けておけば大丈夫ですよ。簡単なんで、いまやっちゃいましょうか?」
「やっぱり痛いかな?」
やったことがない初めてのことには、少し恐怖と抵抗がある。
「うふふ。魔王を倒した人なのに意外と臆病な所があるんですね」
確かに。
魔王と戦った後のボロボロの体はあまり気にしない。
ファーストピアスでビクビクするのは、恥ずかしい気がしてきた。
「針道具は持ってますか?すぐ終わらせますよ」
アイシャの好意的な圧が強く、この場でやることになった。
空間収納にある針道具をアイシャに渡す。
アイシャは針に凍結の魔法をかけているようだ。
痛みを抑えるためらしい。
「それじゃ行きますよ」
左耳にチクッとした感覚。
「あっ……。そんなに痛くはないけど、少し耳に違和感があるね」
「私も着けますね」
そう言って、アイシャは右耳にピアスを着ける。
「ふふっ。これでおそろいですね」
アイシャの笑顔が、この日一番効いた攻撃だったかもしれない。
「スノウさんの初めてを貰ってしまいましたね」
この魔女……やばい。
天然で異性をダメにさせてしまう魔性の素質があると思う。
もしかしたら、サキュバスみたいな魅了のスキルを使っているかもしれない。
個人的にこの子に称号を付けるのであれば小悪魔系魔女、天然人たらし魔女。
「初めてを貰った」なんて言った本人が、顔を真っ赤にしている。
いかがなものか。
箱入り魔女なのに、何故か一生懸命だ。
宝箱に入っていたピアス一式は、アイシャと二人で分ける形になってしまった。
見た目が同じピアスをおそろいで着けていることが後々問題になりそうな気もする。
残りの指輪をどうするかは保留で。
68話です。
皆さんこんにちは。この時間に投稿しています。
つまり仕事はお休みです。ずる休みではなく、有給休暇なんで大丈夫です(笑)。
今回の内容は書いていて恥ずかしかったです。にまにまして頂けると嬉しいです。
明日可能であれば投稿します。よろしくお願いします。




