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第63話 一緒にいこう

私は、初めて出会った人間を忘れない。

可愛らしい笑顔を見せる人間の子どもは、“小さなスノウ”だった。

雷龍王が、人間の子どもの手を引いて精霊界へ来ていた。

近い将来、上級精霊と契約させるため精霊王と顔合わせに来ていたようだった。


私は初級精霊。握れば潰れてしまう弱き存在。

初級精霊は属性ごとの上位精霊に保護され、魔石を糧に成長していく。

上級精霊に成長するためには、何十年から何百年もかかることがあるらしい。

現精霊王は200年以上の年月をかけ、上級精霊から進化した。


私は二属性の混合精霊。

光と闇の属性を持つ。

稀少な精霊だが、光の上位精霊、闇の上位精霊のどちらからも保護を受けることができなかった。

同じ精霊なのに、仲間外れにされていた独りぼっちの初級精霊。

精霊王は保護を受けられないことに気づいていても、何もしなかった。

魔石を糧にできない精霊は自然に帰っていく……それは死を意味する。

行き場所がなく、たださまよい死を待つだけの存在。

その時、小さなスノウが私を見つけた。


「一緒にいこう」


小さなスノウは私を誘ってくれた。


「かあさま、この子を連れて帰ります」


この言葉を聞いた雷龍王の呆気にとられた顔を忘れられない。

上級精霊じゃない、変なものを連れてきたと思っただろう。

雷龍王と小さなスノウの押し問答が、その場で始まる。

決して折れないスノウ……雷龍王が折れた。


「もう好きにしなさい。あなたが生きている限り、全てに責任を持つ覚悟で連れて帰りなさい」


スノウは私を精霊界から連れ出してくれた。


その後。

私はあり得ない速度で進化していく。

小さなスノウが与えた魔石は、雷龍国の宝物庫に保管されていた貴重な魔石だった。

初級精霊だった私は一気に上級精霊となり、人型(女性)を得る。


「君の名前はソエル。ずっと一緒に居てね」


私は、スノウの恥ずかしそうな愛らしい笑顔を忘れない。

自分の運命を、世界を変えた人。

ソエルの世界は、その時から色づいた。


63話です。

皆さんこんばんは。小説の内容はソエル視点で書いてます。

スノウと出会った話をどこかで入れないと、キャラクターの厚みが無い感じがしていました。

ドールマスターの主要なキャラは濃いです、濃厚豚骨ラーメンに近いくらい濃い。

でも癖になると思います。次回は金曜日予定です。

よろしくお願いします。

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