第62話 進化の果てに
球状の魔力空間を壊されないように、ソエルを奪われないようにお姫さま抱っこしている状態なのだが、リーダー格の上級精霊の魔法攻撃が全く効かない。
魔力空間にヒビすら入らない攻撃なのだ。
「本気でやってる?準備体操みたいな感じ?」
リーダー格の上級精霊に真面目に聞いてみる。
「ナマイキナ……コレカラダ」
この精霊の魔法攻撃は激しさを増しているが、全くびくともしない。
立っているのも疲れてくるので、再度お茶会セットの椅子を出して座る。
「フザケルナ」
椅子に座ったのがよっぽど面白くないのか、烈火の如く連続で魔法攻撃を繰り出している。
この上級精霊は火属性なのだろう。
性格が短気なのもあるが、ずっと火の魔法一点張りで攻撃をしている。
周りを見る余裕があるので見てみると、アイシャの動きは魔王と戦った時よりも明らかに良い。
レベルアップの影響なのか、それとも元々持っている実力なのか。
誘導した精霊を圧倒的に叩き潰している。
スパルタ状態といえば良いのか?
起きては地面に叩きつけるをくり繰り返している。
人だったら確実に心が折れるだろう。
精霊だからまあ良いのか。
全身鎧(執事?)の方は、三体で精霊を翻弄している。
ヘイトを取っては二体で攻撃し、無駄のない動きで精霊を確実に弱らせている。
三位一体とはこのことだ。
さてこっちをどうしようか?
頭に血が登ってしまっていて周りの状況が見えていない。
劣勢ならば、即時撤退はセオリーだ。
指示を出したこの精霊本人が、戦況をまったく把握できていない。
精霊界からこっちに来るためのゆがみは残り一カ所。
魔力念糸を使ってダガーとメイスで確実にゆがみを潰していたのだが、気付いている気配は無かった。
「ナゼヤブレナイ、アリエナイ」
明らかに息切れ、疲労感のある声で話してくる。
連続で出していた魔法攻撃はすでに止まっている。
「実力の違いじゃないのか?あと周り見えてる?」
我を忘れ、怒り狂った攻撃をしていたせいで全く周りが見えていなかったのだろう。
他の精霊二体はすでに捕縛されている。
「ナ、ナゼダ……」
自分の置かれた状態がやっとわかったのか、金縛りのように動けなくなっている。
『スノウ、進化コードの解除は終わったわ。休憩するから、後で魔石の補給をよろしく。』
目の前にいたらきっとだるそうな感じだろう。
コード解除が終わったため、魔力の空間も解除する。
お姫様抱っこしているソエルを降ろそうとするのだが、全く降りてくれない。
魔力の空間を既に解除しているため、いま攻撃されたらまずいのだが甘えん坊の精霊が言うことを聞いてくれない。
「もう少しスノウに甘えていたかったのに。邪魔が多すぎるのね」
ソエルの抱っこ病から解放された。
初めて会ったころのソエルは、子どもの手の力でも潰れちゃうくらいか弱い存在。
ふわふわしていつ消えるか分からなかった。
本当に立派になった……感慨深い。
そういえば神は言っていた。
次世代の精霊王は凄いと。
ソエルの姿は今のところあまり変わりないように見える。
いや、根本的に何かが違う。
目の前にいるソエルが違う存在に変っていく。
子どもの頃に一度精霊王に会っているが、目の前にいるソエルは精霊王の比ではない。
一言で言えば格が違う。
石と宝石の違いくらいに別格なのだ。
神よ……あなたはソエルに何をした?
62話です。
皆さんこんにちは。祝日のため不定期投稿しました。
早く次の内容を投稿したいと思っていますが、連続投稿すると話が埋もれてしまいます。
次回は明日予定です。よろしくお願いします。




