第五話
アナザーサイド:とある魔女のパーティ
雷龍国ノクティスの隣には、漆黒の森という広大な森林地帯が存在する。その奥には魔女の集落が存在する。広大な森林に加えて、木精霊ドリアードの加護による防御結界、代々の魔女に受け継がれている魔法・スキルで他国や魔物・魔獣からの侵攻を許さず自治権を獲得した。魔女産のポーションは偽物が出るくらい高品質のため、帝国も王国も簡単に手を出すことができなくなったのが本当の理由かもしれない。
雷龍王は建国した際に、魔女の集落を国として認め同盟を発表している。そのためノクティスの城下町には魔女が多く住んでおり、官僚として魔女を多く登用している。
冒険者ギルドにも魔女が在籍しているパーティが存在しているが、基本素材採取のためにクエストを受けるパーティが多いようだ。もちろん討伐クエストもこなせるパーティも存在する。
ダンジョン40層の地底湖での討伐クエストを無事に終えた魔女のパーティが36層で足止めされていた。40層の水生馬ケルピ2頭の討伐クエストは何とか完了できたのが、かなり手間取ってしまった。ほとんどの回復アイテムを消費してしまったこと、仲間パーティの一人が呪いを受けてしまっており、現状まともに歩くことができない。そんな状態で35層のストーンアントの集団を突破することができない状態であった。40層までは無駄な戦闘を避け、隠蔽魔法でパーティ自体を覆うようにして各層を抜けてきていた。魔力回復できるまではその方法は使用できない。呪いを受けた仲間の衰弱状態も良くなく、満足に回復魔法もかけてあげられない。
そこで魔女パーティのリーダーはある決断をする。貴重な脱出スクロールで自分のパーティメンバーのみを脱出させることにする。魔力に問題なければスクロールで6人全員の脱出は可能なはずであった。今回水生馬ケルピの討伐クエストは自分のわがままで進めてしまった負い目もあるため、仲間パーティの安全な帰還は絶対条件であった。
呪いは時間が経つほど解呪が難しくなり生命に影響を及ぼし、後遺症が残る可能性もある。自分の代わりに呪いを受けてしまった仲間の衰弱状態を考えると、6人全員脱出できるまで魔力回復を気長に待つことができなかった。優しい魔女のリーダーは自分より仲間5人を優先しスクロールの使用を始める。ギリギリの魔力量のため、使用後に倒れないことを神に祈るしかない。
「みんなごめん。ちょっと忘れ物しちゃったから、おばばに遅れて帰るって言っておいて」
何を言い始めたのか、困惑している他の魔女をよそに脱出スクロールを発動させる。
仲間5人を帰還させるため、魔女の国の現代表の孫娘が36層で消息をたった瞬間であった。その数時間後、冒険者ギルドでは緊急救出クエストを発動することになる。
本当に投稿が遅れてしまいました。原因は体調不良です。
北海道も暑い日々のため、夏バテしています。
次の投稿から主人公がダンジョン内で活動開始しているはずです。
今後も宜しくお願いします。