第56話 異質な魔眼
「ところでこの魔力の繭は防御用ですよね?」
魔女の質問に頷く。
「魔力の一部に綻びがあります。魔力の糸の層が一定では無いので、厚さにムラがあるみたいです。」
なるほど。
魔力念糸で空間を作るために繭をイメージしていた。
厚さにムラがあるなら、薄い部分が壊される可能性がある。
「どうしようか。邪魔が入って来られない空間を作るように頼まれているんだが」
いつ来るかわからない上級精霊に対して不完全な魔力の繭はリスクが高い。
「提案ですが魔力の繭ではなく、魔力の泡、ウォーターボール(水玉)のような魔力の玉に入っている感じで少し広げるのはどうでしょう?」
繭から泡?玉?に変える感じで目を瞑って集中する。
「ストップ、ストップです」
目を開けるとソエルと魔女は最初に居た位置から離れている。
「私とソエルさんが認識されてないですね。きっと異物扱いで押し出されていますね」
魔女はいま起こった現象に対して、考察する。
「魔力制御の熟練度の問題だと思います。もしかしたら雷龍王の加護の影響もあるのかな」
魔女から加護の話が出てびっくりしてしまう。
雷龍王の加護については、身内と一部の人しか知らない。
初対面の魔女が自分の加護について知ることはあり得ない。
一気に警戒モードに移行する。
「雷龍王の加護についてなぜ知っている?」
冷淡に、声のトーンをわざと下げる。
魔女に警戒している印象を与えるためだ。
返答次第ではこの魔女を……最悪なパターンも考えなければならない。
「ごめんなさい。私の魔眼がおかしくなっていて見えてしまうんです。命の恩人に軽率な発言をしてしまって、すいません。」
アイシャの言葉から、少なくともこの場で嘘をついているようには見えない。
魔眼持ちの魔女の話は今まで聞いたことがない。
魔眼持ちであれば名前が売れてもおかしくはないと思うのだが。
魔女の一族は秘匿することが多い。
アイシャは秘蔵っ子なのかもしれない。
「どこまで見えている?上位の鑑定スキル持ちなのか?」
「上位の鑑定スキルは元々持ってますが、一度死んでから魔眼で見ると全てが見えています」
「あなたが雷龍王ノクティス様の身内なのも、名前と加護で確信を持っています」
これは完全に自分の身元がばれている。
敵意を感じないので、最悪のパターンはないと思う。
あとはアイシャが秘密にできるかどうか。
「ポーターのスノウ……それ以外ここで見たことは秘密にできるか?」
ダンジョンから戻る前にどこかで釘を刺すつもりだった。
「あなたは命の恩人です。他者には言いません、もしもの時はこの身も命も好きにして貰って構いません」
この魔女は敵にならない。
真剣な表情と眼を見ていると、誠実な人物とわかる。
ひょんな事から自分の秘密がばれてしまった。
無意識の魔眼発動によるものだから、ある意味事故かもしれない。
だがあの眼は本当に魔眼なのか?
自分の知っている魔眼とは明らかに“異質なもの”に感じてしまう。
「わかった、アイシャを信じよう。魔力の制御を手伝ってくれるか」
56話です。
皆さんこんばんは。暑い日が続いています。北海道も温度差が激しいです。
仕事終わってから、小説を書くことが体力的に難しいです。時間的な余裕もありません。
睡眠時間を削ってやるしかないかもしれませんね。
いつか小説で生計を立てたい……今のままじゃ無理ですね(笑)
次回は水曜日を予定しています。よろしくお願いします。




