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第48話 スノウの帰還

どのくらい時間が経っただろうか?

今わかっていることは左肩に痛みが残っていること。

地面についている背中が冷たい。

背中がやたら湿っていると思ったら、左肩からかなり出血していたようだ。

上半身が血まみれ状態。

手指、足趾の末梢から少しずつ動かして、全身状態を確認する。

魔力念糸を使って索敵してみると、まだ戦闘中。

隠蔽スキルを使用して自分の存在を消す。

やっと戻って来られた。


不思議な体験をした。

G・O・D・Sという世界のシステム、神、世界の根幹に触れてしまった。

空間収納を確認すると、黒紫色の魔石はない。

やはり夢ではなかった。

自分の中に居るであろう神に声をかける。


「神さま生きてる?」


信仰深い者が聞いたら発狂するくらいの軽い口調で聞いてみる。


『これが外の世界。凄い』


どのくらいあの球体に閉じ込められていたのか分からないが、泣いている気がする。

いまの世界を、ダンジョンの外を見せたらどんな反応をするだろうか。

このまま感動させてあげたいが、時間の猶予がない。


「感動しているところ悪いんだが、あの魔王をどうにか倒したい」


見慣れない姿になった相棒の精霊と、魔女が共闘して戦っている。

自分と戦ったあの魔王はいない。

そこで戦っているのは、蟻の姿になった魔王。

知性を捨て、本能だけで暴れているように見える。

二人は魔王を押している。

それなのに何かおかしい。

死の臭いが、どんどん増しているからだ。


『スノウ単体では倒せない。あなたの中のものが制御できていない』


??

中のもの?

制御できていない?

思い当たるものは一つしかない。


「魔力の鎖のことか?」


『いまはその形で存在している』


「魔力の鎖が制御できれば勝てるのか?」


『スノウ一人でも勝てる』


「その制御は、この場ですぐにできるものなのか?」


精霊と魔女の二人はいまも戦っている。

自分は蚊帳の外。

すぐに助けに行けない自分が歯痒い。

もし制御ができれば、加勢にいける。


『すぐにはできない。鎖は暴走する』


無慈悲な一言。

だが神の言うことは正しいだろう。

あの魔力の鎖は、きっと暴走する。

自分には従わない。

素直に応じるものではないことはわかっている。

魔王を倒せる武器があるのに、自分には使えない、使いこなせない。

何て無力なんだ。


『スノウは一人じゃない』


「一人じゃなければ勝てる方法があるのか?」


『勝てる。あなたの中には私という神がいる』


『あと数分であの二人は動けなくなる』


「どういうことだ?」


『魔王が透明な無臭の毒を放っている』


死の臭いが増している感じがするのは、透明な毒が原因か。


「どうしたら勝てる?」


何でもいい。

勝てるなら神にも、藁にもすがりたい。

あの魔王に勝って全員で帰還したい。


『魔王の魔石は破壊していい?』


体内にある魔石を破壊できれば、魔王は確実に死ぬ。

ソエルは皇帝クラスの魔石を見て、嬉しそうな顔をしていた。

皇帝クラスの魔石がない以上は、代わりに魔王の魔石をソエルにあげたい。


「魔石は出来れば残したい」


無理難題を神に押しつけてしまう。


『難易度はこちらの方が高い。だが、不可能ではない』


自信満々の自分の中に居る神に賭けるしかないか。


48話です。

皆さんこんばんは。不定期投稿になります。

今日の天気予報は雨で、外に出る予定ではなかったのですが、お祭りに行ってきました。

強めの風が吹いたおかげで、温度は少し涼しい感じでした。

子どもにお小遣いをあげて、お財布が悲しいことになってますが。

明日も投稿予定です。よろしくお願いします。

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