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第47話 知性を捨てた魔王

魔王と対峙するソエルの表情には焦りが浮かんでいた。

自分の闇魔法を吸収し、魔王は全身を黒いトゲで強化した。

魔王は徐々に強くなってきている。

産まれたばかりの時は、外殻が金色のアダマンタイト。

耐久性が異常に高いだけの魔王だった。

本能的な行動しかできず、戦闘技術もない蟻の魔王。

その存在は闇魔法を吸収し変質してしまった。

成長というべきか進化というべきか……

あまりにも理不尽だ。

戦闘している時間で言えば1時間も経っていないのに。

正直ずるい。

自分の魔法が仇になるとは思わなかった。

姿形は違うが、鏡に映ったもう一人の自分と戦っていると錯覚をしてしまう。

大人と子どもくらいの戦闘技術の差が、異常な成長速度で近づいてきている。

短期決戦で仕留めないと、この魔王は止められない。

横目で倒れている愛おしい人を見るがまだ動く気配がない。

その一瞬をつかれてしまう。

魔王は近距離から黒いトゲを放出した。

致命傷にはならなかったが、予想外な攻撃に対応が遅れてしまった。


「本当に相性が悪いわね」


少し距離を取って様子を見る。


「ギィ……グギャァァァァ」


魔王は絶叫するような咆哮をした。

前屈みに崩れ落ちた身体を、金色の糸が包んでいく。


「何をしているの?」


卵?いやこれは繭。

金色の繭だ。


「まずい!?」


金色の繭に向かって黒い槍を全方向から突き刺す。

何本か吸収されるかも知れないが、繭の中身にダメージを与えたい。

この魔王は繭の中で進化するの?


ほんの数秒だった。

金色の繭が大きく脈を打つ。

バリッ。

繭が内側から破れ始めた。

黒金色の脚が一本。

二本。

ゆっくりとその姿を現す。

人型だった魔王は完全に消えていた。

そこにいたのは、黒金色の外殻を纏った蟻。

人型だった頃より一回り大きい程度。

同じ魔王のはずなのに、威圧感が違う。

違うのは眼だ……知性を捨て、本能だけで獲物を狩ろうとする虫型の魔王だった。


「何なの?こいつは?」


魔王とは戦闘中に形態変化、進化する種族なのかと思ってしまう。

距離を取れば、外殻から黒金色のトゲを放出してくる。

闇魔法の黒いトゲなら相殺可能だったが、いまは完全に相殺出来ない。

アダマンタイトと闇魔法を混ぜてる。


「一人だと厳しいか」


もう一度愛おしい人を見ると、隣にいたはずのあの魔女がいない。

まさか逃げた?


「ギィャァァァァ」


魔王の左腹に古槍が突き刺さっている。

あの魔女が一撃を入れたのだ。

戦闘中に気づかれずに一撃を入れるのは無理だ。

きっと隠密系のスキルで一撃を入れたと考えられる。


「スノウは大丈夫なの?」


「命の危機はもうありません。魔力もある程度は渡したんですが、意識がまだ。」


話しながら追加攻撃を仕掛けるあたりは、この魔女の戦闘センスの高さがうかがえる。

二方向から魔王に攻撃をしかける。

ヘイトが一方に向かないように、2対1の有利な状況を作ることが出来た。


「とりあえずは大丈夫なのね?吸収スキルで耐性を持つから短期で殺るわよ」


精霊と魔女の共闘が始まった。


47話です。

北海道なのに暑いのは何故なんでしょうか?

毎回このくだりが多くなっていますね。夏バテです。

明日からお祭りが多いので、顔出ししようと思いますが……家から出たくない病です。

次回は月曜日を予定しています。土日に小説の書き溜め予定です。

よろしくお願いします。

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