第四十七話
ひょんな事から自分の秘密がばれてしまった。無意識の魔眼発動によるものだから仕方ないことかもしれないが、ある意味アイシャも被害者になるのかもしれない。
問題は何度やっても相方の精霊と魔女を自分の魔力が異物扱いとして押し出してしまう。
自分は義姉のような直感で理解できる天才タイプではない。何度も何度も頭と体で覚えて、練習して身につける努力型のタイプと言った方が良いだろう。
時間をかけて魔力制御の熟練度をあげれば一番良いのだろうが、いまはそれが許されない。いつ精霊王から命令された上級精霊が来るかわからないからだ。
「参ったな。短時間では魔力の制御が上手くできない」
魔力念糸による繭のイメージが強すぎて、体を覆っている魔力を広げる単純な作業が逆に難しくてできない。魔力念糸で全身をぐるぐる巻く方が簡単にできてしまう。
「う~ん、時間がないですよね?ソエル様に触れて貰えますか?」
そう言われて頭を撫でるように手で触れる。一瞬精霊の顔がにやけたようにも見えたが。
「これなら大丈夫そうですね。それじゃあ、えいっ」
そう言って魔女が自分に抱きついている・・・うん??
「このまま魔力を広げてみてください」
魔女に抱きつかれ右手は精霊の頭が触れた状態・・・相方の精霊の怒りを表したような異様なオーラを右手で感じているが、徐々に魔力を広げると精霊と魔女が押し出されない。
「さっきと違って何で押し出されないわけ??」
単純な疑問を感じてしまう。
「たぶんですが、雷龍王の加護が反応しないからだと思います。」
あのとき直接触れていれば回復魔法をかけることができた。直接触ることに加えて殺意・敵意がなければ加護はきっと反応しないと推測できる。
精霊の顔を見れば怒っていることは一目瞭然だがいまは非常事態。役得な非常事態と言い聞かせて抱きついた異性の感触を肌で感じる。
魔女はある年代から男性との関わりを制限され、未婚の魔女は魔力の籠もったベールで顔を隠さなければならない。魔女としての演出面も強いが、ベールには貞操を守るために現魔女の代表によるあるエンチャントが付与されていた。
異性に触れると一緒に電撃が走る、痺れるといった罰ゲーム的なエンチャントが発動していたのだ。魔女の一族は極端に人数が少ない。一族が繁栄するためにある一定の能力以上で最適な相手じゃないとエンチャントは解除されない。呪いに近い仕様だった。
いまのアイシャにはベールが無い。起きた時にはベールはすでに無かった。そうアイシャは気付いてしまった。抱きついている人物が自分の運命の最適の相手であることを。
こんばんは。2週間ぶりの投稿になります。一日投稿が遅れました。すいません。
札幌から帰ってから腰痛気味です。皆さん腰は大事にしましょう。
今週はモンハンワイルズの発売日があります。ひと狩り行きましょうね。