第43話 スノウの秘密
魔女は焦っていた。
地面に倒れている彼を一刻も早く助けなければ。
呼吸は浅く、地面には血が広がってきている。
彼の意識はすでにない。
左肩周囲が魔王の攻撃でねじ切れかけている。
タワーシールドを一撃で粉砕する攻撃。
直撃ではないとはいえ生身で受けてしまったのだ。
オブシディアンと言われるAランク冒険者の中身が、細身の青年とはいまだに信じられない。
私の眼が勝手に彼を鑑定してしまう。
職業:ドールマスター
加護:雷龍王の加護
「はい!?」
職業が戦士ではない?
不遇職のドールマスター??
ちょっと待って……オブシディアンは前衛の戦士系と言われている。
本当のオブシディアンはドールマスター。
頭がフリーズしてしまうが、まずはこの怪我をどうにかしないと。
左肩の出血はどんどん酷くなっている。
最悪なことに回復魔法をかけても弾かれる。
「おかしい?なぜ回復できない?」
何度かけ直ししても弾かれる。
私の眼が教えてくれる。
原因は雷龍王の加護。
アンチマジックフィールドは魔法を通さないと言われている。
攻撃魔法だけを防ぐものじゃないの?
回復魔法が効かないのであれば左肩は治せない。手元には回復薬もないからだ。
雷龍王の加護が呪いにしか見えない。
震える両手で傷口を抑えるが、生温かい血液の勢いが少し遅くなる程度の止血にしかならない。
指の隙間から血が溢れ出てくる。
「こんなの、どうすればいいの?」
半泣き状態のまま無意識に回復魔法を使ってしまう。
最初に回復魔法を使ったようにアンチマジックフィールドに弾かれるはずだった。
しかし左肩の出血が徐々に収まっていく。
なぜか回復魔法は弾かれない。
「直接触ればアンチマジックフィールドは作動しないわけね」
徐々に傷口が塞がっていく。
自分にバフをかけているため本来よりも回復させるスピードが速い。
出血が収まればまずは峠を越えるはず。
あとは魔力の譲渡も行わないといけない。
私の眼で見ても、倒れている彼は魔力枯渇状態。
ギリギリの状態で魔王と戦っていたことがわかる。
回復に加えて魔力の譲渡を行いながらまじまじと彼を見ていると、種族が化けて見える。
種族:人族/※※※
とうとう眼がおかしくなった?
眼が痛くなるが化けている所を注視すると徐々に見えてくる。
種族:人族/白翼族
白翼族?稀少種族の?
神の使いと言われる白翼族。天からの使い、天翼族または天使族。
この世界で神に次ぐ上位の存在と言われている。
人族とはかけ離れたハイスペックの種族。
勇者選定の際に現れ、魔王を倒す武具や神託を伝える役割を担うとされる。
彼は一体何者なの?
魔力の譲渡を続けても、彼の魔力は一向に満たされない。
回復と魔力の譲渡により、彼の身体が少しずつ変化が起きていることにこの時はまだ気が付いていなかった。
43話です。
皆さんこんばんは。北海道は蒸し暑くなってきてます。
元々九州男児なのに暑さに耐えれない。本州への引っ越しは難しそうですね。
仕事が忙しくて、なかなか小説を書く時間が難しくなってきました。
今週の土日は多めに小説を書かないとかなりまずいことになりそうです。
次回は金曜日に投稿を予定しています。よろしくお願いします。




