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第39話 世界よりも大切な人

魔女を助けることは正直嬉しくなかった。

私とスノウに関係のない人間を助ける意味があるのか私にはわからない。

1本しかなかった貴重なエリクサーを使うほどの価値がある存在なのかと。

ボロボロの魔女を見たとき価値がないものと思っていた。

だが鎧の中で見た魔女は違っていた。

死にかけた……いや一度死んだ魔女。

死を乗り越えた者は変化が起こる。

魂の器そのものが。

あの魔女は死を乗り越えて変化した。

最初に見たボロボロの魔女ではない。明らかに人を越えた存在に変化した。

スノウを初めて見たときの純白の魂と似ているかもしれない。


「起きてるよね?何でもいいから手伝いなさい」


急に現れたせいで魔女は一瞬きょとんとしているが、私を見るあの眼は異常だ。

全てを見透かしている感じがする。

人間の持つべき眼の範疇を超えている。

この魔女、この眼は危険すぎる。

そう思っていると、魔女は命を助けたことへの感謝が言える常識ある人間のようだ。

冒険者は正直まともじゃない。

命を天秤にかけて仕事をしている。きっと性格も徐々に変わっていくんだろう。

冒険者は舐められたら終わりだと思っている者が多い。

この魔女の評価が少し上がった。

それよりも時間がない。

最悪この魔女を囮にしてもスノウだけは連れて帰る。

魔王?

世界の滅亡?

正直どうでもいい。

私の世界は、スノウがいないと意味がないのだから。

とはいえ、この魔女も使えるなら使わせてもらう。


少し会話すると魔女は槍が使えると、槍が使える魔女なんて知らない。

この魔女は面白い。

それならば槍を使って貰おう。

スノウでも手に余すじゃじゃ馬の古槍を渡す。

もし使えなくても時間稼ぎくらいはできるだろう。


精霊は気まぐれな存在。

か弱い方がスノウは構ってくれるから演じているが、あの蟻の魔王はそれを許してくれない。

短時間なら解放しても精霊王に、自分の存在はばれないか?

上級の魔石があれば、精霊王に掛けられた制限も消せるはず。

私がスノウの横にずっと居られるためには精霊王の制限を外したい。

スノウと蟻の魔王との戦いも長くは持たないだろう。

短時間であの金色の身体に致命傷を与える魔法を発動しないと。

魔王に死を近づける一撃を。

か弱い精霊じゃなくて死神じゃないの。

可愛くないなぁ……

本当の私は好かれるかな。

解放した私を見て嫌われたらどうしよう。

か弱い私の方が好きだったらどうしよう。

最悪、この魔女の方へ行ってしまったら本当に嫌だ。

その時は色々考えないとね。


39話です。

皆さんこんばんは。7月1日です。北海道は不安定な天気が続いています。

偏頭痛に温度差……過ごしにくい環境です。昔の北海道は夏が過ごしやすかったのに。

小説は登場人物の視点で物語が進んでます。楽しんで頂いたら嬉しいです。

次回は金曜日予定です。よろしくお願いします。

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