第38話 魔女の決意
彼は魔王に特攻していく。
不完全なあの魔王をここで倒す判断をしたようだ。
問題なのは明らかに万全ではないこと。
Bossエリアでの戦いでかなり消耗しているはずだ。
圧倒的な戦いをしていたオブシディアンも、人間である以上は無敵ではない。
体力、気力、そして魔力もきっと削られているはずだろう。
では何故戦うのか?
ここで倒さなければ手がつけられなくなるとわかっているからだ。
不完全とはいえ身体の表面がアダマンタイト。
産まれたときから物理攻撃に耐性を持っている魔王。
倒せるチャンスが高いのは今しかない。
私はどうすればいい……
そう考えていると鎧の中に魔力の反応がある。
「起きてるよね?何でもいいから手伝いなさい」
死にかけた時に聞こえた声の主だ。
この場所には魔王以外に3人しか残っていない。
きっとこの精霊が助けたのだろうと思っていた。
「助けてくれてありがとうございました」
命の恩人にお礼を言うが、精霊が警戒している気配を感じる。
「助けたのはスノウ、貴重なエリクサーで貴方を死から救った。このままだとスノウが危ない」
精霊が本当に焦っているのはわかる。
いまエリクサーを使ったと言ったような……
「私はサポートに回れます。必ず役に立ちます」
「具体的には何が出来るの?時間が本当にないの」
「貴方にバフをかけます。武器があればあの魔王にも一撃は入れられます」
「魔力の譲渡もできる?スノウの魔力が切れかけているの」
「出来ます。いまバフをかけます」
魔女にも得意不得意がある。
味方強化のバフ、敵弱体化のデバフの両方が使える魔女は少ないが、私はどちらも無詠唱で使える。
魔力の譲渡は直接触れないと出来ないが、いまの私なら可能だろう。
「武器は何が使えるの?」
「槍はありますか?無ければ杖で」
精霊が一瞬笑ったように見えた。
槍と言われるとは思ってなかったんだろう。
そして私を守ってくれていた白い鎧たちが一斉に消えた。
精霊は私の顔を数秒見つめる。
何かを確かめるように。
「……わかった。この槍を使えるなら使って、すぐに戦闘に参加して。」
空間収納から出された槍は古代語が刻まれた明らかに業物。
たぶんダンジョンでBossドロップした物だろう。
売ればとんでもない額になる槍。
立ち上がって自分にもバフをかける。
槍の長さと重さを確認するために軽く振り回してみる。
エリクサーを使って死から救ってくれた目の前の恩人のために、あの魔王に一撃をいれるチャンスをうかがう。
魔女が勝利の女神になれるかわからないが、生き残るために全力を尽くそう。
38話です。
皆さんこんばんは。人生色々ありますが、今日は誕生日です。
小説投稿を始めて、三年が経ちました。
5月からリライト投稿してますが、じわじわPVが伸びてくれたら嬉しいです。
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