第三十話
現在わかっていることは、この神様は数日でエネルギーが枯渇して存在そのものが消えてしまう。死んでしまうということだ。
「エネルギー・・・具体的に神様は何を食べるんだ?ご飯じゃないよね?パンとか?」
「魔水晶または魔石と言われるエネルギーの塊を消費して存在している。人間には存在しないもの」
「魔石が人間に存在しないのは知っている。あれっ?白翼族の血が入っているなら自分の体内には魔石が存在する??」
「スノウの体内には魔石が存在している。全く使われておらず完全に隠蔽されている。龍の力で魔石の存在そのものを封印しているようだ」
「そもそも魔石は何で人間には存在しないものなのか?」
「産まれた人間は非力でか弱く寿命も100年程度しかない。しかし成長システムによる無限の可能性がある種族。その体内に魔石をいれるリスクが高いとG・O・D・Sは判断した」
「人間は成長システムで無限の可能性がある種族で白翼族は体内に魔石を持っている・・・自分はかなり稀少な存在?」
「この場所に閉じ込められるまで魔石を体内に持った人間の報告はない。初めてのレアなケース」
「簡単に言えば人間以外の種族は魔石をエネルギーとして吸収し、新しいスキルを獲得する?」
「おおまかな解釈だがその通り」
「提案なんだが・・・神様は自分の存在自身をスキルとして変化?変身することはできない?何となく無茶苦茶なことを言っているのだが・・・」
消えてしまう神様をスキルとして存在させて、自分の体内の使ってない魔石の中に入ることが出来れば、結果神様は生き残るのではないかと思ったのだ。
「自分の存在をスキルに変換する・・・いくつかの制限をかければ可能だが、そもそもエネルギーが足りない」
「この魔石ならいいか?」
空間収納の中にある皇帝クラスの黒紫色の魔石を取り出す。さっきまで戦っていた特殊個体の皇帝クラスのクイーンアント魔石だ。
「・・・理解が追いつかない。何故これを持っているの?」
「さっき皇帝クラスのクイーンアントと戦って倒したから。いま持っている中でこれが一番品質の良い魔石だと思う」
きっとこの魔石を渡したらソエルちゃんに拗ねられそうだが、いまは仕方ない。
「この純度の高い魔石のエネルギーを使えば絶対に成功できる。」
「この魔石でエネルギーを得たら、まず自分の体内の魔石の封印を解いてくれ。あとは神様自身をスキル化して、自分の魔石の中に入ればこの場所から出れると思うのだがどうだろう?」
「驚きを隠せない。人間はこんな突拍子もないことを言う種族になっているのか?母親の気質が反映されているのか」
「神様の分析は後回しにしてくれ、実はあまり時間がない。いま魔王クラスと戦って、意識が飛んでこっちに来ているから今後どうなるかわからない。この場所から出たいのならこの魔石を使ってくれ」
少し間を置いた後に手にあった魔石が一瞬で消えた。チカチカとした点滅の存在だった神様はもういない。あの魔石1個で神様は力を取り戻した感じがする。目の前にいる存在は圧倒的な存在感、義母である雷龍王と同じ感じがしているからだ。
そう思っていると明らかに自分の体が軽くなった感じがする。きっと魔石の封印が解除されたのだろう。
時間としては1分も経っていないと思うのだが、目の前の神様が徐々に凝縮されている。
そして目の前に現れたのは虹色の魔石。純度の高い錬成された宝石の様な神の魔石。
「スノウ・・・ありがとう。これが成功できればこの場所から出られる。」
「会ったことはないが母親に感謝してくれ。白翼族の魔石が体内になければ思いつかなかったから」
そう言って親指で自分の中に入るように指示する。
「一応間借り扱いだから、今度家賃みたいな物くれよ?」
神の魔石に表情があるかわからないが、きっと少し笑ってくれたと思う。
この日、閉じ込められた神と言われる存在、G・O・D・Sのシステムの一つがこの場所から消えた。
そして神を宿した人間が誕生した。
皆さんこんにちは。この小説を投稿して1年が経ちました。
2週間に1回の投稿を継続すると目標にして何とか継続しています。
いまだに文章を表現することは難しいと感じてます。
あと個人的なことですが、今日誕生日です。皆さまが幸せでありますように。
また2週間後に投稿します。よろしくお願いします。