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第30話 魔女の決断

36層で仲間パーティの帰還のため、脱出スクロールを使用した。

スクロール使用後は、ふらつきはしたものの何とか意識は保つことができている。

戦闘中もそうだが魔力切れは意識を消失することもあるため、この程度のふらつきで本当に良かった。


今回の討伐クエストは、おばば(魔女の現代表)と言い争いをしたことが発端で憂さ晴らしのためにクエストを受注。

自分のストレス発散クエストに仲間を巻き込んでしまった。

ケルピの討伐はできた。だが仲間と回復アイテムが呪いを受けるという凡ミスまで犯してしまった。

戦闘も冷静ではなかった。

ダンジョンから帰ったらきっとネチネチとしつこく怒られるだろうが、いまはそんなことよりもこの状況が非常にまずい。

食料もなく、回復アイテムもない。

あるのは自分の身と装備品のみで正直詰んでいる。

ダンジョンで遭難してしまっているからだ。

浅層のダンジョンなら帰還もしやすいが、ここは36層。25層のセーフティゾーンまで必ず戦闘が起こる。

単独で帰還できるほどダンジョンは甘くはない。


岩窟エリアのストーンアントは戦闘が始まると虫特有の警戒の鳴き声で、仲間をすぐに呼び寄せてしまう。

現在はストーンクイーンアントの繁殖期と重なっているため、正面からまともに戦うのはリスクが高い。

だからこそ行きはパーティ全体に隠蔽魔法をかけてすり抜けて突破していた。

充分な用意をしてダンジョン攻略すれば仲間たちと問題なく帰還することができたはず。

後悔しても仕方ない。


いま現状でとれる策は3つ。

1つめはこの場で救助を待つ。時間はかかるだろうが生きていれば仲間が救助に来てくれる可能性はある。

2つめは他のパーティが通るのを待って一緒に帰還する(脱出するまでの警護を依頼する)。

3つめは単独で35層を抜ける。


現実的には1つめがベストだが、食料が全くない。

2つめはパーティがいつ通るかの保証がなく、ずっとこの場所に居られない。いつかは魔物に感づかれる。

残る選択肢は3つめになる。隠蔽魔法が使用できるくらいに魔力回復できていれば行きと同じく、エリアをすり抜けることができるかもしれない。


最初からフル装備で来れば良かったと後悔しても遅いのだが、今回のクエストは私本来の装備品ではない。

猫かぶり用の魔法使い装備で来てしまっている。

魔女は魔法使い、後衛職のイメージが強いと思う。

間違いではない。大半の魔女は魔法使いなのだから。

薬学に精通し、呪術や攻撃魔法、補助や治癒魔法も使用する。


ただ私は違う。

皆が想像する一般的な魔女のカテゴリーからかけ離れている。

私は魔女スキルも使える魔槍士なのだ。

漆黒の森の初代の代表は魔法使いの魔女ではなく、魔剣士の女性であった。

夫が錬金術と治癒士のスキルを持っており、戦いに明け暮れた生活から離れて静かに暮らしたいと願い移り住んだ場所が漆黒の森。

魔女の始まりと直系の一族には伝えられている。

直系の一族の中でも初代に一番近いのが母親。

その娘の私は、直系一族の全てを受け継いでしまっている。

次期代表候補の筆頭と言われても、自分の道は自分で決めたい。

そのせいで現代表のおばばと毎回言い争いになる。

ダンジョンから無事に出られたら、甘い物をたくさん食べよう。

体重なんて関係ない。動けばいいのだから。

母親はよく言っていた“女は度胸”だ。

単独で35層をすり抜けよう。

意を決して35層のBossエリアに入っていく。


30話です。

皆さんこんにちは。不定期投稿になります。

現在リライト修正して作品を投稿しています。ストックは35話まで書き終わってます。

リライト前が100話超えていたので、今回150話近くのボリュームになりそうです。

それでも第一章くらいなんですが(笑)。書きたいことはたくさんあっても、文章に書き起こす作業に時間がかかります。誤字・脱字・スペルチェック……毎回やらかしてます。

次回は水曜日予定です。またよろしくお願いします。

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