第二十三話
精霊ソエルの視点
魔女を助けることは正直嬉しくなかった。私とスノウに関係のない人間を助ける意味があるのか私にはわからない。1本しかなかった貴重なエリクサーを使う価値はあるのかと。
ボロボロの魔女を見たときもう価値がないと思っていた。鎧の中で見た魔女は違っていた。死にかけた、いや・・・一瞬でも死んでいた、仮死状態というべき状態だった。
人間は死を乗り越えると変化が起こる。魂の器が変化する。あの魔女は死を乗り越えて変化した。最初見たボロボロの魔女ではない。明らかに上級の存在に変化した。
スノウを初めて見たときの純白の魂と同じかもしれない。
「起きてるよね?何でもいいから手伝いなさい」
急に現れて魔女の目が一瞬きょとんとしているが・・・私を見るあの目は異常だ。全てを見透かしている?人間の持つべき目の範疇を超えている。この目は危険すぎる。そう思っていると命を助けたことへの感謝が言える常識ある人間のようだ。
冒険者は正直まともじゃない。尖っている、舐められたら負けると。命を天秤にかけて生活している仕事だからきっと性格も変わっていくんだろう。この魔女の評価は少し上がった。
それよりも時間がない。最悪この魔女を囮にしてもスノウだけは連れて帰る。魔王?世界が滅亡?正直どうでもいい。私の世界の全てはスノウだから。
少し会話すると魔女なのに槍が使えると。槍が使える魔女なんて知らない。この子は面白いじゃない・・・それじゃ槍を使って貰おうかしら。スノウでも手に余っているあのじゃじゃ馬の古槍を。使えなくても時間稼ぎくらいは少しはできるだろう。
精霊は気まぐれな存在。か弱い方がスノウは構ってくれるから演じているけど、あの魔王はそれを許してくれない。短時間なら解放しても精霊王にはばれないか?魔王の魔石さえあればあの制限は完全に消せるはず。私がスノウの横にずっと居られるためにはどうしても魔王の魔石が欲しい。
スノウと魔王の戦いも長くは持たない。短時間であの金色の体に致命傷を与える魔法を発動しないと。
魔王に死を近づける一撃・・・か弱い精霊じゃなくて死神じゃない。可愛くないなあ。
解放した私を見て嫌だったらどうしよう。か弱い方が好きだったらどうしようか。助けたこの魔女の方に行ったら本当に嫌だなあ。その時は色々考えないとね。
皆さんこんにちは。2週間に1回の投稿ですが今回も無事に投稿できました。
昨日は風邪を引いてしまいほとんど布団の中に居ました。原因は前日にYouTube配信のゲスト出演で汗かきすぎて体冷えたみたいです。季節の変わり目は本当に体調管理が難しいですね。
次回はやっとメインに戻れます。この作品を楽しみにして頂けるように頑張ります。