第23話 オブシディアンからの討伐依頼
「スノウさん、今日は一人ですか?」
ローレライが周囲の視線など気にも留めず、満面の笑みで話しかけてくる。
「そうですね。今日は一人ですよ」
ローレライの笑顔が、どこか嬉しそうな表情に変わる。
「スノウさんにオブシディアンよりポーターの指名が入っていますが、どうされますか?」
ローレライの声を盗み耳していた周りの冒険者たちは、“オブシディアン”の名前を聞いた瞬間、一斉にざわめいた。
最初に声をかけてきたエリザベス嬢の舌打ちが聞こえてきそうだ。
副ギルド長からのポーター依頼にはかなうはずもなく、気が付いたらエリザベス嬢はそそくさと退散していた。
オブシディアン(黒曜石)――“無言の鎧”の異名を持つ冒険者。
冒険者登録して半年でFランクからAランクまで一気に駆け上がった猛者。
現在、討伐クエストの成功率100%。記録更新中という、副ギルド長と同じく有名人。
オブシディアンと呼ばれているが、実は称号名。
神(女神)の祝福と言われているが、勇者や英雄以外にも宝石や星座等の称号がでる冒険者たちが存在する。
「クエスト内容と期間にもよりますが……ちなみに何系でしょうか?」
周りの冒険者たちの声にかき消されそうになるが聞いてみる。
「オブシディアンからの依頼であれば、討伐クエストですね」
「ですよね。今回は何を討伐ですか?」
毎回討伐クエストの依頼とわかりきっているのだが、大抵困難なクエストだ。
「ダンジョン35層、岩窟エリアのストーンクイーンアントにちょっかいをかけた冒険者たちがいたようで、繁殖期と重なってしまい兵隊のストーンアントがエリアにワラワラと」
ローレライがため息をつく。
「可能であればクイーンアント、ストーンアントの一斉駆除をお願いします」
笑顔とともに毎回無茶ぶりのクエスト依頼が来る。
繁殖期のストーンクイーンアントには基本手を出さないことが、冒険者ギルドの暗黙のルールになっていた。
通常時のクイーンアントなら、C~Bランクのパーティでも討伐可能。
しかし繁殖期は凶暴性が一気に増すためBランク以上のパーティが複数で対応するレベルに難易度が跳ね上がる。
繁殖期のストーンクイーンアントは様々な貴重な鉱石と魔力を含む無機物・有機物を溜め込む習性がある。
ちょっかいをかけた冒険者たちは、その貴重な鉱石に目がくらんだかもしれない。
ローレライからのクエスト依頼は、基本的に断れない。
自分とパートナー契約をしているから。
冒険者は希望すればギルド職員、受付嬢とパートナー契約を結ぶことができる。
お互いの同意の上になるが、パートナー契約ができれば掲示板に貼り出される前のクエストを予約受注することが可能となる。
クエストが成功すれば、パートナーにもボーナスが発生。
高ランク冒険者と契約できれば、一攫千金、玉の輿も夢ではない。
契約した場合は、冒険者ギルドカードにパートナーの名前も記載されることになる。
受注のために自分の冒険者ギルドカードを渡す。
Aランク
称号:オブシディアン(黒曜石)
職業:ドールマスター
名前:スノウ・ノクティス / パートナー:ローレライ・エルフィン
これが自分の冒険者ギルドカードである。
第23話です
皆さんこんばんは。今日も北海道は暑いです。台風の影響なのか?風が少し強いと感じました。
リライトする前の小説では、5ページ目くらいです。あと150ページくらいありますね(笑)。
約3年書いていた小説を一度削除して書き直してます。これは時間がかかりますね。
気長にお付き合いください。次回は6/6予定ですが、不定期の投稿も予定してます。
よろしくお願いします。




