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第二十話

魔女の視点


悪い夢を見ていたと思う。仲間たちとダンジョンに潜って、独りだけ遭難してしまう夢。クイーンアントの特殊個体に左胸を突き刺されて死んだ夢・・・。本当に夢だろうか?

体の痛みはない。目を閉じているが四肢の欠損もなく、手も足も指も動く。

違和感があるのは口の中だ。口の中がずっと鉄の味がしている。

そうこれは夢ではなく現実で起こっていたことなのだ。

今の状態はどうなっているのか?クイーンアントの胃袋にいるのか?

恐る恐る目を開けると、全身は毛布に包まれている。空間が狭くて背伸びができないがきっと安全であることがわかる。

膝の上には紙で包まれた何かと、水筒が置いてある。中身はタルト。確か系列店で最近発売した新作のベリーのタルト。

命の危機を感じた場合、生き物は本能に従う。はしたない食べ方かもしれない。手でタルトを口の中に押し込むように体の中にいれていく。水筒には程よい温度の紅茶が入っており、その香りと温かさが全身に染み渡る。脳に糖分が、体にエネルギーを詰め込むと自分の状況をやっと正常に確認できるようになってきた。

自分は大きな鎧の中に入れられている。毛布で包まれていることからきっと保護されたようだ。

鎧の中から外を見ると、まだクイーンアントのBossエリアにいる。全身黒色の鎧を着た重戦士がエリアの中央付近で戦っているのだ。

きっとあれが噂のオブシディアン。A級冒険者の筆頭。暴風のごとく通った後にはストーンアントの亡骸しかない。その亡骸も影の中に沈んでいく。隣には精霊も一緒に戦っている。Bossエリアに沸くようにいたストーンアントはほぼいない。

圧倒的な戦い。その姿に目を奪われてしまう。小さいときに絵本で読んでもらった英雄像が目の前にいる。私の胸を突き刺した特殊個体が追い詰められているのは間違いない。

そして特殊個体には精霊の魔法による複数の黒い槍が全身に突き刺さった。

これで終わったと精霊は安堵しているが、私の眼にはまだ特殊個体が死んでいない。命の火が消えていない。

危ない・・・そう思った時には特殊個体の口から黒緑の液体が吐かれ、精霊にかかりそうになる。あの液体は毒と腐食の合わさったもの。理由はわからないが私の眼にはそう見えている。

触れてはいけないもの。あの液体に触れると間違いなく致命傷になり得るもの。生命を汚し溶かすもの。

精霊の死を覚悟した時、全身黒色の重戦士が壁になるように精霊を抱きしめる。その姿に女子であれば一度は夢を見たことがあるだろう。お姫様と騎士の話を思い出してしまう。

美しい光景だが、黒緑の液体は重戦士の鎧を徐々に溶かしている。

そして全身黒色の鎧が勢いよく外された。謎に包まれたA級冒険者オブシディアン。鎧の中の人物が現れたのだ。


皆さんこんにちは。2週間に1回の投稿です。ご無沙汰しております。

北海道は雪まつりの真っ最中。雪像の感動よりも、雪道で滑って転んだ恥ずかしい記憶があります。

この小説が少しでもワクワクして貰えるように、楽しみにして貰えるように頑張ります。

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