第18話 梟の止まり木
冒険者ギルドでのクエスト報告、素材の換金は無事に終わった。
受付嬢からは、最後も念を押すように注意されてしまったが。
(受付嬢もあの薬草の量は、さすがに引いてたわね)
(張り切りすぎたということで)
世界冒険者機構(通称:冒険者ギルド)は各大陸に存在する。
帝国、王国関係なく支部を設立し、政治に関係ない中立の姿勢をとっている。
冒険者は荷物運び(ポーター)、仮免許のFから初心者のE、はたまた怪物・伝説クラスのSランクまで存在する。
薬草採取のクエストは、基本FかEランクが受けることが多い。
Aランク冒険者が受けることは、まずない。
鎖で採取してる冒険者もいないだろう。
(夜ご飯はどうするの?)
(うーん、今日は少しお酒も飲みたいしね)
(じゃあ、梟の止まり木は?)
(スパイシーな物も食べたいからいいかも)
ギルドから出て、梟の止まり木に歩いて行く。
梟の止まり木は、昼は食堂、夜は居酒屋になるお店だ。
冒険者たちが安く飲めて、腹一杯食べられることで連日満員。
加えてスタッフ全員が魔女のコスプレをしており、それを目当てに通っている冒険者もいる。
スタッフ全員は、顔を隠すようにベールを着けている。
未婚の魔女たちはベールを着けているらしく、魔女のコスプレをお店の売りにしているため、独身男性の冒険者がこぞって集まってくるようだ。
「さすがに混んで来てるな」
(ぎりぎり座れそうね)
少し待ったが、無事に席が確保できた。
「ご注文を伺います」
ベールを着けた店員が、気さくに話しかけてくる。
「今日のおすすめ肉セットと蜂蜜酒、あとエールも一緒に持ってきて」
「ありがとうございます。今日はオーク肉の唐揚げなんで、きっとお酒に合いますよ」
注文を受け取った店員が、ウインクして下がる。
(あの子……スノウに色目使ったかしら)
(いやいや、注文取りに来ただけだから)
(注文取りに来て、ウインクって……)
嫉妬深い相棒の精霊が怖い。
(コスプレかもしれないけど、最近魔女多くない?)
雷龍国ノクティスの事情もある。
雷龍国は、魔女の集落を国として認め同盟を発表している。
そのため魔女との交流・保護を公言しており、街では魔女の姿を多く見ることができるのだ。
そんなお国事情もあるのだが、魔女(風?)のお店は確かに増えている。
雑貨屋、パン屋、居酒屋、スイーツ店……そのうち装備品も売りそうな気がする。
「お待たせしました」
ベールを着けた店員が料理三品と蜂蜜酒、エールを持ってくる。
オーク肉の唐揚げも独特の香辛料の匂いがして、食べる前からよだれが出てしまう。
「追加があればまた呼んでくださいね」
再度ウインクして他のテーブルに向かう。
ソエルちゃん……殺気が漏れてますよ。
精霊特有の固有スキルで姿を見えにくくしている。
これは魔力感知が高いとさすがにバレるな。
(冷めないうちに食べようか?あとでデザートも頼むから)
(やったぁ、締めパフェあるといいな)
殺気が無くなり、ご機嫌モード。
甘い物は正義だ。
オーク肉の唐揚げはスパイシーでお酒が進んだ。
ソエルはエールやワインを次々欲しがり、その度にスノウが追加注文していた。
他のテーブルから冒険者たちの情報交換や噂話が聞こえてくる。
「最近、南側の狩り場が熱いらしいぞ」
「腕が立つ前衛が足りねぇ」
そんな冒険者たちの会話に混じって、今日はブレードマンティスの話も聞こえてくる。
Dランクに上がった冒険者パーティを黒い鎧の冒険者が一人で救った。
圧倒的な強さでAランク冒険者だったらしい。
鎖を使って戦うみたいだ。
他の国から来た流れの冒険者かもしれない。
謎の精霊が応援してくれて勝てた。
噂話は面白いが、自分が酒の肴になるのはどうも苦手だ。
ソエルは違うみたいで、ニコニコしている。
(私のスノウが一番なのよ)
(マンティス狩って、薬草取っただけだよ)
(もっともっと、有名にしなきゃ)
話を聞いちゃいないが、ソエルの機嫌が良いことは確かだ。
第18話です。
皆さんこんばんは。今年の花粉は異常ですね。
いまだに外に出るたびに目がかゆくなり、喉がイガイガします。
早く落ち着いて欲しいです。明日も投稿します。
よろしくお願いします。




